ハブvsマングース。
沖縄では廃止になったらしいこの素晴らしき伝統行事をM嬢は新大久保で復活させようとした。

私の周囲の友達は老若男女問わず、常にアルカイックスマイルを湛えるお上品な人が多いが
ごーくごくごく稀にえらいアンポンタンがいたりもする。ごーくごくごく稀にな、ごーくごく、・・・もういいか。

飲み仲間のD氏。
自称ハメ撮りカメラマン。他称ハメ撮りカメラマン。だからたぶんホントにハメ撮りカメラマン。

この人の志はチョモランマより高く、慈悲心はマリワナ海溝より深い。・・・もちろん女子に関してだけなんだけど。
この人の辞書に「好み」という言葉はない。
いや、あるのだがこの人の辞書には「好み」=「生物学的に雌」と掲載されてている。

というくらい、とにかくナンでもええから女子が好き。ついでに女子とヤるのが好き。
もっと言うと、毎日女子とヤっとる。だから職業としてはハメ撮りカメラマンしか成り立たない。
まあ、こんな愉快痛快なお人だ。

が!こんな好色じじいは新宿区界隈では石を投げりゃ当たるほど多く生息している。
彼がすごいのはどんな女子であっても「なんでヤったの?」と聞かれたら
「素敵な人だったから」と答えるところだ。
好みのタイプがなく毎日ヤるとなると、そらー色々な「個性」を持った女子がいるだろう。 良くも悪くも。

私が知る限りでも「㌧単位では測れないファットな女子」「アラレちゃんのトレーナーを着ている女子」
「自分の髪の毛を食らって飢えを凌ぐ女子」and so on・・・

ああー、もう書いているだけでオエー。アロハオエー。誰かハワイ連れてってー。

そんな個性の塊のような女子であっても、彼は決して
「あの5重の肉のウェストポーチに埋もれてみたかった」などというムードのない台詞ははかない。
「素敵だったから」なのである。そしてそれはきっと本心なのだろう。


同じく飲み仲間のY子。
彼女は看護婦をしている。M嬢の学生時代のクリーンとはいえないバイト時代の友達だ。

彼女の好奇心はサバンナ砂漠より広大で、探究心はイグアスの滝より勢いがある。
そして、彼女も「ブルータス、お前もか」なのだ。つまり男子に関してオープンマインド過ぎているのである。

普段はFENDIあたりの服を着ているちょいとお嬢様系の彼女。
が、自分の身にリスクが降りかかる女子のお立場としてはどーかと思うほど「ヤるのが好き」なのである。
そして、生物学的に雄である以上やはりあまり好みにこだわりがない。
で、例の質問「なんでヤったの?」と聞くと、「だって気持ちいいから」と即答するハードボイルド女子なのだ。

彼女のスゴいところは、いわゆる「H」を「ファック」と言う。す、すごくないか、それ。なんで?と思うものの
かーなーりーいい発音で「ファック」と歯切れ良く言われると
「なんで?」と聞く私がとんでもなく常識はずれな質問をしようとしている気分になるのだ。
ツィードスーツを着てフォクシーマガジンを愛読する女子が表参道のカフェで「ファック」だ。かなり破壊力がある。

一介のOLの私の知り合いの輪なんてたかがしれている。その猫の額ほどの範囲に存在したハブとマングース。
その二人の直接対決の場面が訪れた。場所は行きつけの新大久保の小粋なバーだ。

自称天才的傍観者である私は、思春期のように胸を高ぶらせながら二人を紹介した。
1+1=2とは限らない」なんて青臭い教師の台詞が脳裏に蘇る。

そして、最高の舞台をお膳立てした私は、重鎮の舞台監督のように神妙な面持ちでメガホンをとり
二人の会話を盗み聞きしはじめた。

「好きな食べ物ってなんスか?」
「・・・酢豚。・・・ですかね?」
「ああ、俺もまあまあ好きっスよ」
「パイナップルが入っていても、ですか?」
「ああ、やぶさかじゃないっスね」

カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーット。

ガチンコを持って会話にカットインするM監督。タルい会話にもほどがある。
大物男優と大物女優のつぶし合い・・・。そんな言葉が監督の脳裏をよぎった。

が、本物同士ってこんなモンなのかもしれん。
お互い本物ゆえ、言葉を交わす前から毛穴の具合やらその人の体臭とかで
「コイツ、同族!コーション、コーション」というモールス信号を発して、そして受け取っているのかもしれない。


凡人M嬢の名言。
「先生、1+1=0ってこともあるんですね・・・」

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