「鹿の王」角川文庫版で1〜4を読み終えました。
本屋大賞、日本医療小説大賞を受賞した作品だけあり、壮大な世界観で面白かったです。
以下、少しネタバレがありますので
ご注意ください。
物語は
謎の伝染病から生き残ったヴァンと
その病を研究する天才医術師のホッサル、
この2人の男を軸に、物語が代わる代わる進んでいきます。
戦争、奴隷、病、開拓民と先住民などの民族間のこと、寒さに飢えなど、物語全体を通して悲しく暗い時代背景ですが、その中でも美しい自然と動物たち、また狩人たちの躍動感ある描写が素晴らしく、それらが物語に透明感を印象付けてくれました。
戦い、飢え、病など常に死と隣り合わせの緊迫した状況ではあるものの、さらりと読みやすい文章なのと、まだ幼い「ユナちゃ」の発言や行動がほっこりさせてくれました。
ただ、ひとつ物足りなかったところも。
守り人シリーズのチャグムのように
素晴らしい器を持ち、出会う人たちに良い影響を与え、これぞ神に選ばれし人間なのね!というようなカリスマ力あるキャラクターは残念ながら(私の中では、です)出てこなくて。
魅力を感じるキャラクターがいるか、いないかは
私が物語を読む上で重要なのかもしれません。
鹿の王に出てくるのは
たとえ氏族や国のリーダーであっても
ちょっと歪んだ考え方であったり、
頭が固く凝り固まったような、そしてずる賢い振る舞いだったり、騙し合うし、そんな者たち…
対する一般人はそんな者たちに振り回されながらも、与えられた環境に身を置き、心も素朴で優しい人柄で…
逆らう者が出てこないのですよねー。
戦争も伝染病も、
「関係ない者たちが苦しめられる」
というところを強調するためだとは思うのですが、
でも1人ぐらいまともなリーダーがいても、いいのにな…💦
そういったところに、
人間の生々しさ。
リアル。
が、あるのかも知れません。
色々と書きましたが
物語全体は、面白くてあっという間に読了しました!
さて☆次は、ママ友さんおすすめの
「きのう何食べた?」(漫画)を読もうと思います!