局所麻酔の日帰り前立腺生検、LATPとは?             佐々木クリニック泌尿器科芝大門

今日は、前立腺がん診断のための前立腺生検のお話です。

 

 

PSA腫瘍マーカーが異常高値で、MRIで異常所見があると、確定診断をつけるために前立腺針生検を行います。

 

前立腺針生検とは、前立腺に特殊な機器を用いて、ボタンをおすと一瞬、細い針が出て組織を採取し、病理診断で確定診断をつけます。

 

 

生検の針を挿入するアプローチには、上図のように経直腸と経会陰があります。

 

これまで、多くは、経直腸アプローチで生検が行われてきました。しかし、経直腸生検は、直腸から針を刺すため感染のリスクが高いことや、前立腺の恥骨に近い側の異常部位の生検が行いにくいなど、いくつかのデメリットがあります。

 

一方、経会陰生検は、恥骨に近いほうの生検が行いやすくまた、感染リスクが低いですが、皮膚を穿刺するため、痛みが強く、全身麻酔や腰椎麻酔(下半身が一過性にマヒする麻酔)が必要で、入院する必要性が高くなります。よって多くの施設では入院で経会陰生検が行われることが多いです。(外来で行っている施設ももちろんあります)

 

近年、欧米を中心にLocal anaesthetic transperineal prostate biopsy (LATP)といい、局所麻酔下で経会陰生検が行われるようになってきています。

 

経会陰アプローチが行われる会陰部(肛門と陰嚢の間)から局所麻酔薬を投与し、ガイド針を挿入し、そこからエコー下で針生検を行います。麻酔は、痛みがありますが、組織を採取する時は、強い痛みがあることはほとんど少ないです。(歯科治療のように、麻酔の時は痛く、治療時は痛くないといった感じです)

 

佐々木クリニック泌尿器科芝大門では、2022年12月から、Local anaesthetic transperineal prostate biopsy (LATP)を開始して、現在、月に10-15件前後行っております。(当院は、放射線治療前の日帰りスペーサー挿入も約8-10件/月で行っています)

 

当日は、受診から麻酔、準備を行い、生検は約15分前後で終了します。その後、約5-20分前後、休憩し体調が問題なければ帰宅の準備をして会計を行い帰宅します。当日の院内滞在時間は、約1時間30分前後です。当日は、無理をしないように指導していますが、翌日からは、合併症がなければ通常通り仕事が可能です。

 

費用は、保険適用3割負担の患者さんで、約1万3000円前後の自己負担で、入院の生検よりも負担が軽いことも患者さんのメリットと考えています。

 

もちろん日帰り生検ですので、リスクが高い患者さんは、施行出来ない場合があります。この場合は、連携施設で入院で生検を行っていただいております。

 

また、生検の適応もありますので、症例によっては、入院、しっかり麻酔をして本数の多い生検が必要な場合があります。適応に関しても、お気軽にご相談ください。

 

現時点では、前立腺がんの確定診断には、生検は必要となります。

 

日帰り前立腺針生検を検討している患者さんは、ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

5月からは、リスクがない患者さんは、特定の日にちで、夕方の生検も開始予定です。

 

 

佐々木クリニック泌尿器科芝大門