若き母と実家へ | 次郎風来

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風の吹くまま気の向くままに書きたい
わがままな私のブログ。「詩」が中心のブログです。

 
   母の自転車の後ろに乗って
   母の実家に行く。
 
   寒い日だったのだろう。
 
   「次郎、背中の中に頭を入れなさい。」
 
   両手は母の腰をしっかりつかんで。
   私は、温かい母の背に
   頭を入れるのだった。

   実家の帰り道。
 
   自転車をこぎながら
   母は歌を唄っていた。
 
   島倉千代子さんの「この世の花」。
 
   ♪あ~かく咲く花 青い花
     この世に咲く花 数々あれど~♪
 
   実家の道は線路と平行線だった。
 

  蒸気機関車

 

 
   実家から帰る道。
 
   機関車が来る。
 
   私は、手を思いっきり振る。
 
   そんな幼い私に蒸気機関車の人が
   気づいてくれて
 
   私に手を振ってくれるのだった。
 
   それが嬉しくて嬉しくて
 
   蒸気機関車のおじさん!
   ありがとう!
 
   私は母が歌を唄うのを
   それいらい聞いた覚えはない。
 
 
 
※お読みいただきありがとうございました。