ある日スタバで、ソファ席を確保し、1人で本を読みくつろいでいた。
しばらくすると店内は混み始め、席がなくなっていった。


そんな時1人の4、50代の婦人が近付いてきた。
後ろに同じ年格好の女性が2人いる。3人組みのようだ。


オレはたぶん使ってない方のイス(こっちは木のイスだ)を
持って行っていいかと言われると推測した。
これはよくある事だ。もちろん承諾するつもりだった。


しかし彼女はこう言った。


「席を替わってもらえませんか?」
「私達3人であの席は狭いので…」


見ると彼女達の確保している席は、確かに3人分のスペースはなかった。
そして硬い硬い木のイスの席だ。


彼女の物腰は上品だったが、根底にある考えはこうだ。


「私達3人でホリディを楽しもうとスタバに来たのだけれど、2人分の席しかなくて…。
よく見るとあそこにデクの棒が1人で広いスペースを独占しているわね。
あちらは1人だから、この狭い席で充分なはず。
気が弱そうだし頭も悪そうだから、文句も言いそうもないわね。私、行ってくる。」


彼女の頭の中で、オレをピースに含めたジグソーパズルが完成したのだろう。
しかしイスの柔らかさの概念や、自分の都合で他人を移動させる事に対する配慮は、
なさそうだった。


オレは彼女のピースにならなければいけないのだろうか?
そんな事はない。1人分のホリディも、3人分のホリディも等価なはずだ。


しかしオレは、イスを持って行く事に対しては、承諾しようと思っていたので、
その余韻で即座に「いいですよ。」と言ってしまった!


硬い硬いイスに座りながら思った。なぜこう言わなかったのかと。


「このトレードは全く釣り合っていないけど、
かわいそうだから替わってあげますよ。」


やっさんになりたい。