病気になったら病院へ、

病気になりたくなければ鍼灸を。


群馬県前橋市を拠点に出張専門鍼灸を開業している、


ささき ひでかず

(本名・佐々木秀和)


です。


 今回は津液の不調について投稿します。津液の不調には、津液が不足した状態である津液不足と体内で津液が停滞、過剰になった状態の痰湿があります。


津液不足

 津液の絶対量の不足と機能的な衰えをいいます。飲食物の摂取不足、過剰な発汗や激しい下痢、熱邪や体内で発生した熱で津液が干上がるなどが主な原因です。症状として、鼻、喉、口の渇きや肌や髪の乾燥、乾燥便や尿量の減少などがあります。


痰湿

 人体に不要となった津液の総称をいいます。脾、肺、腎の機能低下により津液を正常に代謝することが出来ない、気滞により津液の運行が阻害される、水分の過剰摂取などが主な原因です。病理的な特徴は津液が停滞し生理物質の流れを阻害することです。


湿…津液が生理的な機能を失い、全身に広がって滞留した希薄な状態の水液。臓腑の機能失調や水分の過剰な摂取が原因となります。体内に留まると身体の重だるさ、浮腫、下痢などの症状が起こります。多湿や降雨などで増悪することが多いです。また、湿が長期に及ぶ、あるいは外邪や病的な熱と結びつき熱を帯びた状態を湿熱といいます。

…湿よりも濃密な状態で留まった水液。湿と同様な症状が出ます。

…水よりさらに濃密な状態で留まった水液。腹部、胸脇部、皮膚などに留まります。腹鳴、動悸、喘息、浮腫などの症状が起こります。

…凝集して固形物に近い状態になった状態。気血の流れに沿って全身に移動し、身体のあちこちで症状を起こしますが、上半身の症状が比較的多いです。咳嗽、動悸、眩暈、頭痛、意識障害、精神障害など多様な症状が起こります。


津液に関連する経穴

☆よく使う主要な経穴

陰陵泉《去湿》、豊隆《去痰》、中極《利水》

陰陵泉、豊隆ともに水はけをよくします。湿の状態なら陰陵泉を、痰になったら豊隆を用います。中極は尿の出を良くする働きがあります。

津液不足に用いる主要な経穴

津液不足には津液を補う補津液(ほしんえき)という治法を行います。


足三里《健脾和胃》、三陰交《健脾胃》、太渓《益腎養陰》、養老《補益津液》

足三里と三陰交で脾胃の機能を高めるだけでなく津液を生み出します。太渓は腎の原穴、腎は水を主どります。復溜を代用することもあります。養老は小腸経の郄穴ですが、滋養津液の常用穴です。

痰湿に用いる主要な経穴

痰湿には、溜まった水を捌く利水(りすい)という治法と、余分な水分(湿)を捌く利湿(りしつ)という治法を行います。


陰陵泉《去湿》、豊隆《去痰》、中脘《化痰降濁》、足三里《健脾利湿、健脾和胃》

陰陵泉、豊隆ともに水はけをよくします。中脘と足三里で募合配穴です。胃の機能を高める働きがあります。



津液に関連する漢方

津液不足

麦門冬湯(ばくもんどうとう)、銀翹散(ぎんぎょうさん)など

痰湿

五苓散(ごれいさん)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、真武湯(しんぶとう)など