親戚が家を建て替える事になった。
旧い家で、かなりあちこちが傷んでいて、おまけに庭は草ぼうぼうだ。
夏だから余計青々として草丈も高くて、親戚の家ながら『おばけ屋敷』のようだった。
でも、ソコは正真正銘の『おばけ屋敷』で、家に住んでいるのはおっちゃん一人だけ。
他の家族は度重なる怪現象で、家を出て別の家に住んでいた。
昼間でも草むらにぼーっと立っているのは見知らぬおっちゃんと、小学校低学年の女の子だ。
リアルに見えるので、畑仕事とか、散歩に行くジ様と孫の組み合わせにしか見えない。
でも、彼らは無表情で、挨拶しようと会釈して頭を上げるともういないのだ。
それでやっとおばけだと気付く。
そんなことはしょっちゅうだと聞いた。
で、今風に建て替えたのだが、中の間取りはそのままだった。
外観は2階建てで、洋風で小洒落ていて、さっぱりしたものだ。
庭の草も綺麗に刈られ、案外こんなにでかい家だったのかと初めて知った。
ぶっちゃけあんまり親戚付き合いがないので、建て替える前もその家に入ったことはない。
昔の商家みたいに、玄関入るとすぐ畳の部屋があったりした。
顔色の悪いおっちゃんと家族、そして祈祷師の坊さんがいた。
家のお披露目かと思ったら、家に起こる怪現象の供養みたいなものだった。
2階のある一室に集まって座った。
まだ引越しが完了していないようで、その部屋には何も置いてなかったが、窓の沢山ある明るい部屋だ。
祈祷師の坊さんは、あまり若くもなく、徳もなさそうな人だ。
その人の隣に座って顔を見た時に『大丈夫かいな』と思った。
締め切ってある窓に掛かったレースのカーテンが波打った。
それは中にいる人間の恐怖を煽るようにざわざわと動いた。
それをみた時急に寒くなり、真夏なのに寒くて身体がガタガタ震えた。
あまりの寒さに立ち上がると足がふわふわ浮いているようだった。
坊さんが、なんだかわからない言葉を言ったら、すとん、と降りて寒さが消えた。
ちょっと信用する気になった。
なんだか解らないうちに法要が済んで、ここで何があったのかを聞いた。
まだここが山だった頃の数百年前、敵方の武士達がここを通った。
戦の僅かな生き残りで、彼らは逃げていたのだ。
それを見ていた勝っている方の武将達は上から大岩を落として皆殺しにしたという。
ここはそういう場所で、その時岩を落とした者の血縁関係者の末裔が、おっちゃんたちだそうだ。
ここで目が覚めた。
『夢』だった。
熱帯夜はだからキライだ。ろくな夢を見ないから。
ささらはリアルな夢をカラーで見る。
子供の時見た夢を今でも覚えていたりする。
皆さんはどんな夢を見ているんでしょうねぇ・・・
今日は長崎に原爆が投下された日だ。
あんな爆弾の所為で戦争が終わったなんて嘘だ。
今でもあの時の被害者の戦争は終わっていない。
立秋過ぎたけれど、この夏一番の暑さが続いている。
でも、畑の中から虫の声が聞こえた。
やっぱり秋なんだろうか。
昔の人はすごいなぁと思った。