ちびまる子ちゃん 運命の刻の巻 #.2 | SSブログ

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『さくら家・玄関(朝)』

すみれ「行くんだね……」

まる子「うん……ちょっくら行ってくるよ」

すみれ「ちゃんと色々持った?」

まる子「持ったって言っても……何するかわからないからね……持ってく物も分かんないよ」

すみれ「分からないからこそ色々持っていかないと……水筒やお弁当は?   服とかもいるんじゃない?」

まる子「まぁ落ち着いてよ……あたしゃ必ず帰ってくるから……」

すみれ「……そうね……待ってるわ」

まる子「うん。それじゃ……行ってきます!」ガラッ

まる子「待っててよ!   絶対に抗ってみせるからさ!」タタタッ

すみれ「うぅ……まる子!」ダダッ

ひろし「よせ!   母さん」

すみれ「う……うぅ……どうして……どうして、もう会えない気がするの……」

ひろし「これが……あいつの運命ってやつなんだよ……」

咲子「……バカまる子……」


『学校への道』

まる子「……あ!   たまちゃん!」タタタッ

たまえ「あ……まるちゃん……」

まる子「……たまちゃんも行くんだ……」

たまえ「……うん。他の人に任せっぱなしなんてできないから……」

まる子「お父さん達は許してくれた?」

たまえ「うん……説得するのすごく大変だったけど……」

まる子「たまちゃんのお父さんなら、そうだろうね……」

たまえ「ははは……でもお父さん達を守るためでもあるから……もし、運命が本当ならさ……」

まる子「だね……。嘘だったらいいのに……」

たまえ「…………」


『入江小学校・三年四組』

扉(ガラッ)

まる子「あ……みんな……」

はまじ「おう……」

ブー太郎「さくら達が最後だブー」

まる子「結局、全員集まったんだ……」

大野「あぁ……俺だけ知らんぷりなんてできねぇからな」

杉山「抗えってんなら抗ってやろうじゃねぇか!」

フード先生「ほぅ……それは良い覚悟ですね」

まる子「うわぁ!」ビクッ

大野「来たか……」

フード先生「ふむ……全員揃っているようですね。実に喜ばしい」

杉山「そんな事はいいからどうするのか教えろよ」

大野「ウソだったらタダじゃおかねぇからな」

フード先生「では、説明します。あなた達には今から……十年間、私の屋敷で修行を受けてもらいます」

まる子「えぇ!?   じゅ……十年!?」

フード先生「はい……悲しい事ですがあなた達に残された猶予は十年しかありません。しかも、それだけ期間を使って修行しても……運命に抗えるかは分かりません……」

関口「そ……そんな……」

笹山「その十年間は……やっぱり家族には会えないんですか……?」

フード先生「……残念ですが……」

まる子「…………」

たまえ「…………」

はまじ「……何だよ!   覚悟決めて来たんだろ!」

まる子「はまじ……」

はまじ「俺は……俺は母ちゃん達のために……それぐらいどうって事ねぇよ!」

たまえ「……うん!   私も!」

ブー太郎「俺もだブー!」

フード先生「……ふふ……本当に良い覚悟です……」

はまじ「よし!   それじゃその別荘って所に行こうぜ!」

フード先生「はい……では参りましょう」パチンッ

   フードの男が指を鳴らすと、教室がグニャリと曲がり、その様相を変えた。

まる子「えぇ!?   教室が!?」

はまじ「べ……別の部屋に変わった!?」

大野「何だか随分と小綺麗な教室だな」

杉山「おい!   窓の外も変わってるぜ」

たまえ「うわぁ〜綺麗……」

まる子「あれ小川かな?   夕陽を受けて輝いてるねぇ……」

城ヶ崎「ちょっと待ってよ!   どうして夕陽が……私達は朝に集まったのに……」

まる子「あ……確かにそうだね……」

フード先生「それは教室だけじゃなく、世界自体も移動したからですよ」

笹山「世界?」

フード先生「はい……ここはあなた達が今まで住んでいた世界ではありません。その一歩手前の世界といえばいいでしょうか……」

はまじ「なんかよく分かんねぇな」

ブー太郎「ブー!   結局、どういう事だブー?」

フード先生「要するに君達のお母さんやお父さんが住んでいる場所とは違う場所って事です……」

まる子「……そっか……だからお母さん達にも会えないんだね……」

フード先生「……はい……ですが、運命に抗い、運命を変えればまた会えます……」

大野「……よし!   それじゃどうすりゃいいんだ?   修行すんだろ?」

フード先生「はい……ですが焦りは禁物です。まずはこの別荘に慣れていただき、色々と取り決めねばなりません。ですから、ひとまず、皆さんをそれぞれの部屋へ案内致しましょう」

まる子「えぇ!?   それぞれの部屋!?」

フード先生「では私の後に続きなさい。屋敷を案内しましょう」スタスタ


『屋敷・ロビー』

はまじ「うわぁ!   すげぇ!」

ブー太郎「豪邸みたいだブー!」

まる子「す……すごいねぇ……フカフカのソファにテーブル。目の前には大きなガラス壁。まさしく高級ホテルのロビーだよ」

たまえ「うん!   すごく快適そうだね!」

フード先生「このロビーから男子部屋、女子部屋、それから教室やお風呂などに行く事ができます。もちろん男子部屋と女子部屋は分かれていますよ」

永沢「なるほどな……これなら女子に面倒な事を言われずに済む」

城ヶ崎「ふん!   こっちこそ!」

フード先生「それでは、今から皆さんは各自、自分の部屋へ向かってください。そこに皆さんの服や日用品が入っています。それらを確認してからここへ戻って来てください」

まる子「うはぁ〜あたしゃ自分だけの部屋なんて初めてだよ!   行こう!   たまちゃん!」

たまえ「うん!」タタタッ

はまじ「へへ!   俺、めちゃくちゃカッコいい部屋に改造しちゃうもんね」

ブー太郎「ブー!   俺もやってやるブー!」タタタッ

   こうして生徒達はそれぞれ自分の名札のある部屋へと入り、準備を整えていった。そして、再びロビーへと戻って行く。生徒達の表情にまだ焦りは見えなかった。

フード先生「全員揃いましたね。では教室へ戻りましょう」スタスタ


『屋敷・教室』

フード先生「それでは皆さん。これから運命についてのお話をさせて頂きます」

まる子「……ゴク……」

フード先生「あなた達に訪れる過酷な運命……それは今から十年後にやってきます。それはとある一家の襲来。とある一家による殺戮です……」

生徒一同「…………」

フード先生「皆さんはその一家に対抗しなければなりません。力、知恵、勇気……。全てを備え、全員が一丸となって戦わなければならないのです」

生徒一同「…………」

フード先生「そのためには、まず選ばなければなりません。あなた達がどう抗うか。自分の得意と不得意を知り、どう戦うのかを……。さて、選べるのは三つの戦い方。一つ目は戦士」シャキン

まる子「うぉ!?   何もないところから剣が!?」

たまえ「し……真剣だよ……あれ……」

フード先生「その名の通り、剣や斧を扱い、敵と真っ向から戦う者。十年の間にみっちりと体力作りをし、戦士一丸となって敵と対峙して頂きます」

生徒一同「…………」

フード先生「二つ目は狙撃手」シュン

まる子「今度は弓だね……」

たまえ「もう何でも出せるんだね……」

フード先生「狙撃手もその名の通り、遠くから矢を放ち敵を仕留める暗殺者。十年の間に視力向上。そして精密性の高い射撃能力を手に入れて頂きます」

生徒一同「…………」

フード先生「最後は隠密……」スーッ

まる子「き……消えちゃったよ!?」

たまえ「でも声だけ聞こえるよ!?」

フード先生「隠密は全てを欺く闇の者。十年間、物音を立てずに動く訓練と素早く動き、木々の間を飛び回る訓練、そしてクナイを用いた暗殺訓練を受けていただきます」

生徒一同「…………」

フード先生「皆さんにはこの中から一つを選び、十年の訓練を受けるのです。さぁ、どれに志願しますか?」パチンッ

   各生徒の机の上にチョークが出現する。

まる子「あ……チョーク」

たまえ「全員に一個あるみたい……」

フード先生「そのチョークで黒板に名前を書いてください。自分が志願する訓練内容の下に……」

まる子「えぇ!?   ど……どうする、たまちゃん」

たまえ「ど……どうしよう……そんな直ぐには決められないよ」

藤木「うぅ……永沢君はどっちにするんだい?」

永沢「僕はもう決まってるさ」スッ

藤木「え?」

永沢「僕は隠密にするよ。これが一番あってると思うからね」

藤木「そ……そうなのかい?   じゃあ僕も……」

永沢「藤木君……君は卑怯者なんだから選べる道は一つしかないだろう?」

藤木「えぇ!?」

永沢「狙撃手さ。正に卑怯者の藤木君にピッタリじゃないか」

藤木「うぐ!   そ……そんなぁ……」

笹山「藤木君……私も一緒に狙撃手に行くわ」

藤木「え!?   笹山さんも!?」

笹山「うん……私、目が良い方だし、戦士や隠密になれるほど体力もないから……」

藤木「……そういえば僕も体力には余り自信がないや……うん……僕も狙撃手になるよ」

笹山「うん!   一緒に頑張りましょう!」

藤木「え……えへへ……」

城ヶ崎「…………」

永沢「……ふん。なんだい。まだ迷っているのかい?」

城ヶ崎「うるさいわね!   ほっといてよ!」

永沢「ま、君は戦士にでもなってれば良いんじゃないか。隠密みたいな精細な仕事は君には無理だろうからね」

城ヶ崎「な……何ですって!」

永沢「ほらね。そんな気の強い性格で隠密なんて出来るわけないさ。直ぐに見つかっておしまいだね」

城ヶ崎「ぐ……いいわ!   じゃあ私も隠密に行くわよ!」

永沢「えぇ!?   何でだよ!?」

城ヶ崎「見せてやるわよ!   私だって隠密ぐらい出来るって所!」

永沢「ぐ……」

城ヶ崎「ふん!」

大野「杉山!   俺達は……」

杉山「当然、戦士だよな!」

大野「あぁ!   二人で絶対強くなってやろうぜ!」

杉山「おう!」

はまじ「う〜ん……俺は……」

山田「あはははは。あはははは」

はまじ「お?   山田、お前決めたのか?」

山田「あはははは。僕は決めたじょ〜!   戦士になって斧を持つんだじょ〜あはははは」

はまじ「そ……そうか……確かに似合ってるかもな……ははは……」

山田「浜崎君はどうずるんだい?」

はまじ「えぇ?   俺は……」

山田「ねぇねぇ!   一緒に戦士になろうよぉ〜!   浜崎君がいないとつまらないじょ〜」

はまじ「えぇ!?   う〜ん……」

山田「ねぇざぐらぁ。君もぞう思うだろ?」

まる子「え!?   う……うん……」

山田「ほら!   やっぱり浜崎君は戦士だじょ〜!」

はまじ「う〜……そうだな!   戦士になって前線で戦う方がカッコいいもんな!」

山田「そうだじょ〜!   カッコいいじょ〜!」

はまじ「よし!   俺、戦士に決めるよ!」

まる子「はえ〜……みんなドンドン決めてっちゃうよ」

たまえ「うん。私たちも早く決めないと」

まる子「う〜ん……戦士は体力作りがキツそうだしなぁ……でも隠密もなぁ……」

たまえ「まるちゃん……楽なやつは多分ないよ……」

山田「ざぐら達も戦士においでよ」

まる子「え?」

山田「どうぜなら前線でカッコよく戦いたいだろう?」

まる子「いや……あたし達はそんな……」

山田「それに皆で一緒に戦った方が絶対いいじゃないか」

まる子「えぇ?   まぁ……そうだけど……」

山田「戦士は一人でも多い方がいいじょ!   だからざぐら達も来るといいじょ!」

まる子「山田……あんたこういう時だけもっともらしい事を……」

たまえ「……分かった!   私、戦士に行く!」

まる子「えぇ!?   たまちゃん!?」

たまえ「私も前線で戦うわ!   皆で戦えば怖くないもの!」

山田「そうだじょ〜!   怖くないじょ〜!」

たまえ「まるちゃん!   まるちゃんはどうするの?」

まる子「えぇ!?   あたしゃ……」

たまえ「…………」

山田「…………」

まる子「……うぅ……分かったよ!   戦士に行くよ!」

たまえ「まるちゃん!」

山田「わぁ〜い!   ざぐらも戦士だじょ〜!」

まる子「トホホ……あの流れじゃ断れないよ……」

   かくして生徒達の戦い方は決まり、いよいよ明日から本格的な訓練が始まる事となるのであった。

続く