あの日生まれた歌 | 何もない明日

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朗読人の独り言

 

 

 

 

二年前の3月11日は山形にいた。
2011年3月11日も同じく山形に。
いや、同じではないか。
あれから随分経って、
私は違う自分になった。
2011年、2023年、現在。




あの日、もし自分が山形にいなかったら。
今の自分はここにいなかったかもしれない。
2025年の笹田美紀は歌っていなかったかもしれない。
でも、歌っている。
あの日の自分がいたから。




停電の夜、雪の中、並んだスーパーマーケット。
カーラジオからの緊迫したアナウンサーの声。
ろうそくの灯りの中、囲んだカセットコンロ。
電源を切った電子ピアノのカタカタ鳴る音。




2011年の3月11日、13時頃。
生まれた歌を今も、歌い続けている。
あの日私が山形にいなかったなら、
生まれていなかっただろう。
「音楽が止まる音」は。