ポケットの中のポエムか手紙 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

 

 

 

 

「黒曜石か、水晶の林檎か。
あなたが落としたのはどちらのポエムですか?」




いいえ
私が落としたのは
そもそもポエムではありません
それは 手紙のようなもので
宛先が無いのでどこにも届かないかもしれないし
届いたとしてもそれは私が死んだ後かもしれない
それでも書き続けている手紙を私は落としたのです
落とした後もまだ 書き続けています
落としては書き 書いては落とし
この命が終わるまで書き続けます
黒曜石も
水晶の林檎も
誰のポケットから零れ落ちたポエムなのでしょう
少なくとも私のポケットで無い事は確かです
どちらも私には
眩し過ぎていけません




「正直なあなたにはどちらも差し上げましょうか?」




いいえ結構です
私が書いているものは
ポエムではありませんから
私のポケットの中のものは