夢の中でギターを買おうとしていた。
アコースティックギター。
弾いてる真似しか出来ないのに。
三本の内どれにするか悩んでいて、
その内の一本はボディも弦も竹製だった。
そんなの現実にあるのかないのか知らないけれど
和っぽい音が出そう、でも難しそう。
とか思って悩んで、なかなか選べずにいた。
他の二本には余り、特徴が無かった。
ギターの他には父さんの誕生日プレゼント。
そのお店には楽器の他にも様々な雑貨が並んでいて、
見ていて楽しかった。
腕時計が良いかな?
と思ったのだった。
夢の中での話。
起きてから思ったのだ、もう選べないのだと。
父さんへのプレゼントを選ぶ事は無いのだと。
「誕生日おめでとう」に贈り物はしないのだ。
心の中で言うだけ、
「誕生日おめでとう」と。
腕時計が良いかな?
と思ったのは多分、
父さんを送る会場の入り口に飾られていた
父さんの銀色の腕時計を思い出したからだろう。
この世界での役目を終え、解き放たれたのだ。
時間からも空間からも。
もう時計は必要ない。