砂粒と観覧車 観覧車の窓がスクリーンの映画館。 受付を済ませて扉を開けると、 目の前に聳え立つ巨大観覧車に案内される。 徐々に地上を離れてゆく観覧車の中 途方に暮れる。 「映画を観に来たのに。」 大丈夫、この窓いっぱいに映るんだよ。 と誰かが言って、カウントダウンが始まる。 * 左手中指の爪の隙間から 延々と溢れ出す銀色の砂粒。 早く手を洗って朝食の支度をしなくては。 水道の水は、凍るように冷たい。 砂粒は途切れない。 キラキラといつまでも。