砂粒と観覧車 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

 

 

 

 

観覧車の窓がスクリーンの映画館。
受付を済ませて扉を開けると、
目の前に聳え立つ巨大観覧車に案内される。
徐々に地上を離れてゆく観覧車の中
途方に暮れる。
「映画を観に来たのに。」
大丈夫、この窓いっぱいに映るんだよ。
と誰かが言って、カウントダウンが始まる。









左手中指の爪の隙間から
延々と溢れ出す銀色の砂粒。
早く手を洗って朝食の支度をしなくては。
水道の水は、凍るように冷たい。
砂粒は途切れない。
キラキラといつまでも。