冬の動物園 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




どうしたって爪先には血が通わない。







夏でも冬でも動物は眠っているのだなあ。
と冬の動物園で夏の事を思い出す日曜日。
ともちゃんとは上野動物園にも一緒に行ったから、
ごっちゃになっていたのだな。
井の頭ZOOと。



はしびろこうが見たい!
ってともちゃんが言って
張り切って辿り着いたのに門が閉まってて
あ、そうか、動物園には入れなかったんだ。
だから上野じゃないんだ。
井の頭のみの記憶だ。



暑くても寒くても眠っている檻の中の動物。
水浴びしているはなこさん。
美しいと思った。
こうやって少しずつ忘れてしまっても
こうして思い出せるかな。
それなら大丈夫。



忘れないでいたい。
をいつまで憶えていられるのか。
漠然とでもいい。
ずっとこうしていたい。



を、
いつまで憶えていられるんだろう。
感覚のない爪先で
歩く自分の両腕は
どうしたって冷たいままなんだけど、
幸せなんだよな。
今が一番。