朗読とポエム | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




狸坂では狸に化かされなかったし、
暗闇坂には日光が燦々と射していた。
色んな坂が交差する不思議な場所を歩く。
土曜の午後、元麻布。
朗読を目指して。



その人は人間、
と言うよりも朗読そのものだったので
私の目からは自然としょっぱい水分が滲んできて
劇場版「銀河鉄道の夜」
で言う所のあのシーンを思い出した。
ジョバンニが言う。
「なんだい、ザネリのやつ。」



朗読と握手、
した後駅までポエムと歩いた。
この後夜行バスに揺られ山形まで行くと言う、
ポエムに手を振って南北線のホームへと向かいながら
朗読の手のぬくみを、思い出していた。