EXIT | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




むかーしむかしあるところに、
笹田美紀というおんなのこがいました。




語り出さねばならないくらい遠い昔に
作った二曲を並行練習している今日この頃。
気付けば九月も終わる。
また年を取るのに
私は今まで何をしていたというのだろう。
20年以上経ってから漸く声に出せるなんて、
引っ込み思案にも程がある。
と我ながら思う。



出口の事を考えろ、と昨日言われた。
10年後の出口、20年後の出口、
出口の事を考えないから失敗するのだと。
入口も分からないのにどこにあるのだと、
足踏みしている私は野垂れ死ぬのだろう。
今ここにある歌は、どこに届くのだろう。
狭い箱の中に木霊して消えてゆくしかないのか。



時間が足りない、と今更思う。
歌い終わらないかもしれない、と泣きそうになる。
私が今まで何をしてきたというのだろう。
今ここにある歌の為に、
出来る事があったはずなのに。



と泣き言を言っている内に、明日が来る。
残りの時間で出来る事、
それだけを考えよう。