夜に迷う 知っているはずの風景が突然異次元に変わる 掌を返すような白々しさで 帰り道は遠ざかる、焦れば焦る程 急げば急ぐ程 迷路化する路地裏 熱を孕んだまま増幅する夜の力に怯む その一瞬の隙に入り込む夥しい闇 どこから来たの? どこに帰るの? 見つからない答え 沸騰する体液 遡れば遡る程、記憶は曖昧になる どこから来たのか どこに帰るのか 点滅する信号 無人の横断歩道 風も星も消え失せた 夜に一人迷う