夜に迷う | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




知っているはずの風景が突然異次元に変わる
掌を返すような白々しさで
帰り道は遠ざかる、焦れば焦る程
急げば急ぐ程
迷路化する路地裏



熱を孕んだまま増幅する夜の力に怯む
その一瞬の隙に入り込む夥しい闇
どこから来たの?
どこに帰るの?
見つからない答え
沸騰する体液



遡れば遡る程、記憶は曖昧になる
どこから来たのか
どこに帰るのか



点滅する信号
無人の横断歩道
風も星も消え失せた
夜に一人迷う