半分洗剤の匂いの染みついた
シリコンスチーマーをレンジでチンする。
それがメインのおかず。
野菜とチーズ。
冷凍ごはんもチン。
コンロのない生活。
ガスコンロで炙ったカマンベールチーズ、
が出てくるレシピを見ながら火炙りの刑
を連想した自分は最低だと思う。
知りもしないくせに、語感だけで遊びやがる。
実家から調味料やお米、洋服と一緒に
小林ケンタロウさんのレシピ本が届く。
一ページ目を開いて
涙ぐんだ自分も、
最低だと思う。
何も知らないくせに。
*
眠る前、松本次郎さんの漫画を繰り返し読む。
性交が、どこまでもおぞましく描かれていて、
どのページも悲しい。もしくは淋しい。
少しくらい痛い方が気持ちいいどころじゃない、
そこには苦痛しか存在しないように思える。
電車の中でよく見かけるスマホ画面をいじる人の、
難しい顔とその眉間の皺をなんとなく思い出す。
そこにはどんな辛い事が書いてあるのか。
かわいい女の子だったりすると尚の事心配になって、
でも次の瞬間忘れる。
忘れて電車を降りる。
忘れるから眠れる。
また起きて歩き出せる。