罅 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言





一つしか無いグラスが割れた。

あの人がそれを使ったことや

一緒にカレーを食べたことなんかを思い出して

悲しくなった。

こんな風に壊れてゆく。

壊れたから捨てる。

燃えないゴミの日に。

捨てよう捨てよう、

また今度にしよう。

そうして増えてゆく。

罅割れた記憶。