1973 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




乗り込んだのが超時空間エレベーター
とかいう代物で、
単に九階だか十階だったかに
行きたかっただけなのに「只今よりワープします。」
みたいな結構良い感じの男性の声でアナウンスが流れ
よく分からんスピードで上昇後平行移動、
辿り着いた場所は1973年の大阪だった。



1973年な上に大阪なので、
とりあえず帰ろうとするんだけど生まれる前なので
例えば実家に行ってみたとしても信じてもらえるかどうか
「一年後生まれるあなた方の子供です。」
ってターミネーターじゃないんだから。



乗ってきたエレベーターは忽然と姿を消していて
それでもどこかのビルには確実に存在するんであろう、
その超時空間エレベーターにまた乗り込めば
話は早いんだけどなあ、と途方に暮れつつ
財布の中身を確認する。
この平成のコインは、
昭和の公衆電話で使えるだろうか。
とかぼんやり考えながら駅へ向かう。