さくらんぼしかない街で | 何もない明日

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朗読人の独り言

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「先程山形の市街地を歩いてみたんですが、何もないですね。」



「こんなさくらんぼしかないような街で
こんなに刺激的な曲を演ってもいいものかと思ったんですが、
リハで演ったので演ります。新曲です。」



「普段はこんなこと言わないんですけど、
俺みたいな冴えないバンドマンでも
ほんの一欠片でも誰かに影響力を与えられるとしたら
今日ここに集まった皆さんの前で
俺は自分のプライドを捨てて命懸けで
最高のものを提供したいと思っている。
だから皆さんも、引き続きボケッと観て行ってください。」


「山形には初めて来たので、
このバンドで初めて作った曲を記念に演ります。」



「だけど君が好き、ありがとう。」





夜、空、星
見上げながら歩いた。
腕時計のうさぎ
跳ねるのは心
楽しくてすべてを
忘れそうになって
それでもいつだって
ここにいる誰か



だけど君が好き、ありがとう