信じてるよ。
と言うつもりで、
口から飛び出たのは「信じてないよ。」。
あれ?
でも、あなた笑って言った。
「うん、分かってる。」
何が分かってるの?
*
窓の外のあの子が、雨に濡れて震えている。
尻尾を振って見上げてる。
慌てて外に飛び出す。
真っ白いタオルであの子を包む。
こんなに小さかったっけ?
そうか、この子は
あの子じゃないんだ。
*
メロン、トマト、あと何かの栽培キット。
「ご自由にお試しください」
と渡り廊下の隅のワゴンに積んであったので
一箱ずつ手に取ってしげしげと眺める。
【材料】種、土、栽培用妖精
ってマジで妖精入り、この箱?
と半信半疑なまま家へと。
*
信じているよを込めた「信じてないよ。」
あの子じゃないこの子
妖精の入った箱
「うん、分かってる。」
って何が分かってるの?
何も分かってないじゃない。
あなたも私も。