seven cloud | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言




信じてるよ。
と言うつもりで、
口から飛び出たのは「信じてないよ。」。
あれ?
でも、あなた笑って言った。
「うん、分かってる。」
何が分かってるの?





窓の外のあの子が、雨に濡れて震えている。
尻尾を振って見上げてる。
慌てて外に飛び出す。
真っ白いタオルであの子を包む。
こんなに小さかったっけ?
そうか、この子は
あの子じゃないんだ。





メロン、トマト、あと何かの栽培キット。
「ご自由にお試しください」
と渡り廊下の隅のワゴンに積んであったので
一箱ずつ手に取ってしげしげと眺める。
【材料】種、土、栽培用妖精
ってマジで妖精入り、この箱?
と半信半疑なまま家へと。





信じているよを込めた「信じてないよ。」
あの子じゃないこの子
妖精の入った箱
「うん、分かってる。」
って何が分かってるの?
何も分かってないじゃない。
あなたも私も。