もう二度と
通ることはないかもしれない
と思うだけで
辛くなる幾つもの道の上に置いてきてしまった
私の
影
物も言わず
動くことも出来ず
ずっとその場所に
とどまり続ける
影達は空を見上げ
手を伸ばすだろう
繰り返し
繰り返し
青空に憧れて
夕空に涙を流し
星空に祈りを捧げるだろう
物も言わず
動くことも出来ず
繰り返し
繰り返し
手を伸ばすだろう
もう二度と
通ることはないかもしれない
と思うだけで
辛くなる幾つもの道の上に置き去りにしてきた
私の影の
上に咲く花を
踏みしめてゆく君
『影に咲く花』 笹田美紀