影に咲く花 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

何もない明日




もう二度と
通ることはないかもしれない
と思うだけで
辛くなる幾つもの道の上に置いてきてしまった
私の



物も言わず
動くことも出来ず
ずっとその場所に
とどまり続ける



影達は空を見上げ
手を伸ばすだろう
繰り返し
繰り返し



青空に憧れて
夕空に涙を流し
星空に祈りを捧げるだろう



物も言わず
動くことも出来ず
繰り返し
繰り返し
手を伸ばすだろう



もう二度と
通ることはないかもしれない
と思うだけで
辛くなる幾つもの道の上に置き去りにしてきた
私の影の
上に咲く花を
踏みしめてゆく君



『影に咲く花』 笹田美紀