今日まではダメでいよう | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言



呪文のように繰り返していた言葉が、
かえって自分を縛り付けていたのだな。





こんな夢を見た。


同性愛者の魔女の呪いで、
私は姿を得体の知れない化け物に変えられてしまう。
自分の姿ははっきりと確認できないのだが、
通り過ぎる人が
皆一様に目を逸らし一目散に逃げて行くので
よっぽど醜悪な姿なのだろう。
さて、呪いを解く方法は?
チッチッチッチッチッチッ(秒針の音)
答えが出ず途方に暮れていると、
颯爽と登場するタイムトラベラー
それは中学時代の友人Yちゃんであった。
彼女はまだ幼い顔のままこう言った。
「病院へ行こう。」
病院て。



なんともまあ中途半端に現実的な物語だなあ。
王子のキスでもなくお姫様の涙でもなく、
病院か。
苦笑いの早朝に思う。
でも私は、病気じゃないんだけどなあ。





そんなわけで先日、
初めて路上にて朗読してみました。
山形駅前の歩道橋の上。
歩道橋って言っても駅から直結しており、
ベンチがあったりしてちょっとした広場のよう。
平日の昼ながら結構な人通り。
春休みということもあったのかな。



その日は変な天気でね。
空はぼんやり明るいんだけど
ずーっと雨が降ってんの。
しとしとだったりぽつぽつだったり降り方が変わる。
光も射したり、陰ったり。
天気雨って久しぶりだったから
なんだか嬉しくなっちゃって、
歩きながら行先を変えた。
霞城公園から山形駅前へ。



外で読む時の声の響かせ方が難しかった。
反響するものがないから、
その分大きな声を出そうとすると
ただ単に怒鳴っているようになってしまう。
腹に目茶苦茶力を入れ、
なるべく丁寧にゆっくり読んだ。
で、ふっきれました。
誰も聴いちゃいない。
ここには誰もいない私一人なんだ、って。



弱気になっていた。
正直淋しくて仕方なかった。
どうしてなんだろうって
わかりきったことを
わからないふりして
誰もいないのに。



いつか忘れられてゆくのだろう。
日常
毎日のように繰り返し行われること
そこに私はいないし
あなたもいない
わかりきったこと
あたりまえの話
それでももう大丈夫、



呪いは解けました。





笹田美紀山形路上朗読ライブ
不定期
時間、場所未定で
敢行予定