最後の恋 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言



もう絶対後悔したくない。



って思ってんだけどなあ。
本番に弱いこと弱いこと。
あーもう、うぜーこの女。



もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対なんて
言わないよ。
もうこれで、
最後にしたいのです。



18の年に上京し、18年が経ちました。
私に出来たこと。出来なかったこと。
傷つけた人。失ったもの。
消えずに残ったもの。
まだここにあるもの。



「男の子と女の子が手をつないで歩いていました。
途中で小さな小川があったので、女の子が小川を飛び越えて、
それでも手をつないでお喋りをしながら歩いていました。
少し川の流れが太くなったので、
手をつないでいることはできなくなりましたが、
そのまま二人は喋りながら歩いていました。
だんだん川の流れは大きくなって、声が聞こえなくなりましたが、
二人は手を振ったり笑ったりしながら歩いていきました。
川の流れはますます大きくなって、
とうとう相手の姿も見えなくなってしまいました。
男の子と女の子はそれから二度と会うことはありませんでした。」
(絲山秋子『エスケイプ』より バンジャマン神父の話)



人生に於いてこういうことはしばしば起こり得ること
だ?
だとしても嫌だね。
もう絶対に、後悔するのは。



って思ってたんだけどなあ。
絶対なんて言わない。
本番に弱すぎる
うざい女の、
最後の恋。



まだここにある。