指先から冷えてゆく | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言


女性であることに嫌悪感を覚える時に
必ず思い出す遠い記憶があって
その度に思う
性別はいらない
感覚も感情も
関係もいらない



あんなに欲しかった新しいギターも
新しい名前ももういらない
いつしか消えてゆく感熱紙の文字
何も感じない
何も生まれない



触れた先から冷えてゆく
頬も唇も
肩も指先も
感覚も感情も
関係ももういらない



新しいギターも
新しい名前も
あんなに欲しかったのに
目覚めてみればもういらない
何も感じない
何も生まれない
感熱紙の文字は
いつか消えるから



目覚めてみれば



もう