迂回路 | 何もない明日

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朗読人の独り言

何もない明日




思ったより広いんだなあ、
歌舞伎町って。





極度の方向音痴でも、
本当に切羽詰った時には恐ろしい嗅覚で
目的地まで辿り着けるもんである。
あんなに走ったの久しぶりだ。
田舎の中学生みたい。
って実際田舎の中学生だったんですけどね、
この青臭い30過ぎを誰かなんとかしてください。



またしても完璧に終電を逃し
新宿から荻窪まで歩いて帰ってきた。
一時間半、歩きました。
傘はめんどくさくて差しませんでした。
雨の青梅街道をひたすら歩いた。
歩いても歩いても答えは出なかった。
新宿区から中野区、そして杉並区。
七夕なんてとっくに終わっているのに
笹の葉が揺れる新中野のアーケード。
見上げれば目に入る短冊の文字。
「幸せが訪れますように」



シアワセガオトズレマスヨウニ?



人間はどんな時にもお腹がすくのだということを
初めて知ったのは中学2年生の時です。
また
お腹がすかなくなることもあるのだということを
初めて知ったのは高校2年生の時です。
走った上にたくさん歩いたのでお腹がすきました。
とりあえずシャワーを浴びて全部洗い流そう。
涙なのか汗なのか雨なのかよだれなのか。
よくわからないそれらを洗い流そう。
わかっていることが一つだけある。
私からは血は流れませんでした。
流れたのは涙と汗とよだれだけ。
血は一滴も、
流れませんでした。