それはつめたくてあじがしない | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

何もない明日


あなたのことを考えると
胸が ざくざく するので
もうこれ以上
わたしの夢に出てこないでください
道いっぱいに敷きつめられた
氷砂糖の上を
裸足で歩けと言われているような
そんな気がします
そこはかとなく します


お願いだから
わたしの夢に出てこないでください
ざくざく するので 胸が
出てこないでください



口いっぱいに頬ばれば
甘くとろけて消えますか
甘くとろけて消えるなら
いっそ食べてしまいましょう


甘くとろけて消えてしまえ
あわてて口に放り込んだけれど
それは味気なく ただ冷たいだけ
それは冷たくて 何の味もしない



苦くも
辛くも
しょっぱくもなく
それは味気なく冷たいだけ


痛くも
痒くも
くるおしくもない
それは冷たくて味がしない



目を閉じて飛んでみるのと
暗闇の中で目を開けるのと
どちらを選んでも 同じように
冷たくて味がしないんだろうか



ざくざく
ざくざく
ざくざく
するので



お願いだから
出てこないでください


もうこれ以上
私の夢に



『それはつめたくてあじがしない』 笹田美紀




でも、

たまには出てきてくれないと困るよね。



写真はまったく関係ない人ん家の猫ニャー。



ニャー。