韓国最高権威の大衆音楽授賞式「韓国大衆音楽賞」(KMA・ハンデウム)は
「韓国のグラミー賞」と呼ばれている。
人気や販売量ではなく、音楽的な成果を基準にした授賞式だ。大衆音楽評論家、
音楽担当記者とPD、音楽コンテンツ企画者で構成された選定委員会(選定委員
長キム・グァンヒョン)が激しい議論の末、作品性を中心に受賞者を決める。
今年の「第21回韓国大衆音楽賞」には55人が参加した。
来る29日、リテールメディアプラットフォームプリズム(PRIZM)を通じてリアル
タイムで中継される今回の授賞式では、計3分野26部門を授賞する。特に総合分
野は合計4つの部門に分けられる。
総合分野のうち、「今年の歌」部門は様々なジャンルの候補が目を引く。
シンドロームガールズグループNewJeansのファーストシングル「OMG」収録
曲「Ditto」、大物ラッパーのBeenzinoの正規2集「NOWITZKI」収録曲
「Travel Again(Feat. Cautious Clay)」、大注目のバンドSilica Gelのシングル
「Tik Tak Tok」、グローバルスーパーグループBTSのメンバージョングクの最
初の公式ソロシングル「Seven(Feat. Latto)」、ガールズグループH1-KEYの
最初のミニアルバム「Rose Blossom」のタイトル曲「建物の間に咲いたバラ」
など。
以下は、ハンデウム選定委員たちの候補者選定の弁である。
NewJeans
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NewJeans「Ditto」
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登場以来、瞬く間にK-POPを代表するアーティストの一人になったNewJeans。
デビュー作が歴代級の反響を呼んだだけに、次の作品に対する期待と懸念も非
常に大きかった。しかし、わずか4ヶ月で発売された「Ditto」は、その期待を
満たし、懸念を払拭した。夢幻的なハミングで幕を開けるトラックは、中毒性
のあるボルチモア・クラブ・リズムと心地よいパッド・サウンドが混ざり合い、
ダンサブルでありながら感性的な冬のムードを実現する。これはスレイベルや
マラカスの代わりに冬を表現する洗練された新しい公式である。その上にドキ
ドキと切ない心を込めた歌詞は、穏やかなメロディーに乗せられ、自然に曲の
切ない感情を具現化している。このような曲の雰囲気は、ノスタルジーを感じ
させるミュージックビデオ、1998年の学校を背景にした関連コンテンツとも
大きな相乗効果を生む。新鮮でありながら温かく、新しくて懐かしく、2022年
の冬を象徴する曲。 (選定委員チェ・ヨンファン)
ラッパーBeenzino
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Beenzino「Travel Again」
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欲望は欠乏から始まる。 欠乏がなければ欲望もない。逆に、欠乏が多かったり持続
すると欲望は膨張する。膨張した欲望を爆発させると、人間は強い解放感を感じる。
その解放感を吐き出すようなBeenzinoの「Travel Again」は、旅行というありふれた、
しかしやむを得ない事情で2020年代初頭に現代人が自由に享受できなかった欲望噴出
の行為に対する感情を凝集した曲だ。明るく緩いムードのサビとバス(Verse)は、まる
で飛行機が済州空港とケネディ空港の滑走路にほとんど着陸していくようにゆっくり
と続いている。Beenzinoはその中で以前にはなかった成熟とまだ残っている少しの
打撃をもとに、個人の純粋さを余裕を持って表現している。「Travel Again」の音楽
的感動は、2017年から2019年まで続いた軍服務という個人的な文脈と、2020年から
2023年まで続いたパンデミックという世界的な文脈を一緒に念頭に置くと、更に大き
くなる。彼は最初の正規作品「12」の最後のトラック「We Are Going To」と「Travel
Again」を繋ぐまで8年という歳月を経なければならなかった。彼の音楽を聴く人々も、
少なくとも3年経ってから初めて自由な旅を満喫することができた。しかし、長い間膨
張してきた旅行への欲望が凝縮されなかったら、おそらくパンデミック時代の賛歌で
ある「Travel Again」は誕生しなかっただろうし、「ウィ・ア・ゴーイング・トゥ・
トラベル・アゲイン」という多くの人がワクワクするような文章も完成しなかっただ
ろう。芸術の素晴らしさと日常の大切さは、そのような欠乏から生まれるものだ」
(選定委員 キム・ジョンウォン)。
Silica Gel
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Silica Gel「Tik Tak Tok」
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冒頭から炸裂するダイナミックなシンセサイザーのリフは、「これがSilica Gelサウ
ンドだ」という宣言であり証である。何よりもこのバンドの才能は、まるで行進す
るように音符を吐き出すときに最高潮に達する。最近、ロックが再び復活している
という声があちこちで聞こえてくる。韓国では、その中心に位置するバンドがSilica
Gelであることに誰も異議を唱える人はいないだろう。インディーズからスタートし、
フェスティバルのヘッドライナーまで、たとえ「私だけが知りたいバンド」として
残したいと思っても、そうできない存在になって久しい。確かにそうだ。忘れられ
ない強烈なギターソロを含むこの曲は、間違いなく2023年のロックである(選考
委員ペ・スンタク)。
BTSジョングク
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ジョンクク「Seven」
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ビルボード「HOT100」1位を獲得した曲という銘板がなくても、「GOLDEN」の
最初のシングル「Seven」は、なぜ彼がBTSのメインボーカリストであり、"ゴー
ルデン末っ子"であるかを感じさせてくれる。愛する異性に一週間中執着する内容
を大げさに盛り込んだが、最終的にその情に心の扉を開くミュージックビデオも
ジョングクがハン・ソヒと一緒に出演して見る楽しみがある。曲の全体的なプロ
ダクションが複雑でなくシンプルで、とてもすっきりとした印象で、中盤に曲の
雰囲気を少しひねり出すLattoのラップもバランスがよく取れている。比較的短い
期間内に後続曲である「3D」と「Standing Next to You」の活動までを成功裏に
終え、このうちどの曲が「今年の歌」候補に上がっても、その年を代表するのに
不足がないということに異論の余地がないほど均等な完成度を示している」(選定
委員キム・ボンファン)。
H1-KEY
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H1-KEY「건물 사이에 피어난 장미(建物の間に咲いた薔薇)」
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一縷の夢を抱いて耐え忍ぶ薔薇を容赦なく踏みにじるような社会で、若者の声で
『この殺伐とした街が美しく染まるまで、最後まで頑張るぞ』と歌ってくれて、
有難くもあり、仮想的な気持ちになる。そのお陰で強力な吸引力を感じ、そう
やって自己陶酔の時間を切り開けば、きっと自然の中だけでなく、ビルの間でも、
咲き誇る瞬間が薔薇に必ず訪れると信じさせる力を与えてくれるような気がする」
(選定委員・ヒョン・ジウン)
(NEWSIS)
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昨年はユンナが今年の歌、最優秀ポップスの二冠を受賞した事が話題になった韓国
大衆音楽賞ですが、今年も授賞式の時期となり「今年の歌」賞のノミネート候補が
決まりました。
NewJeans「Ditto」MV
Beenzino「Travel Again」
Silica Gel「Tik Tak Tok」MV
ジョンクク「Seven」MV
H1-KEY「건물 사이에 피어난 장미(建物の間に咲いた薔薇)」MV
他の音楽賞とは選考基準が違うので自分の中でも新たな発見があったりするので
ノミネート作品を見比べるだけでも楽しいのですが、今回はそのノミネート作品
に選定委員会の選考の意図が記事となっていてより興味深いものとなりました。
授賞式は今月29日に行われるとの事です。