[EN:ボクシング]「MACARONI CHEESE」YOUNG POSSEの偶然、あるいは運命 | 我楽多箱

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K-POP関連の気になった話題をスクラップブック的に綴る気まぐれなブログ。

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EN:ボクシング
商品の開封を意味する「アンボクシング」(unboxing)から着想を得た「EN:ボクシ

ング」は、一言で言えば「アルバム探求」コーナーです。バッグを通してバッグの

持ち主を知る「What's in my bag」のように、アルバム一枚に込められた様々な

試みと努力を見る「What's in this Album」と考えてください。作る人、表現する

人のもう少し豊かな話を聞いてみてください。

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YOUNG POSSE1stミニアルバム「MACARONI CHEESE」制作記①

タイトル曲「MACARONI CHEESE」編

 

今年10月18日にデビューした5人組の新人女性アイドルグループYOUNG POSSE

 

 

デビューを控えて果てしなく続くダイエットに疲れたある日、ふとこんな考えが

浮かんだ。「マカロニチーズが食べたい!」メンバーの参加で徐々に発展し、

一つの曲として完成した。おそらくこのテーマのK-POPは初めてではないかと思

われる「MACARONI CHEESE」が新人ガールズグループYOUNG POSSEのデビ

ュー曲となった背景である。

DSPメディアとBEATSエンタテインメントが共同制作したYOUNG POSSEは、今

年10月18日に最初のミニアルバム「MACARONI CHEESE」を発表して歌謡界に

デビューした。2年間の準備期間を経て世に出たYOUNG POSSEは、同名のデビュ

ー曲制作に相当部分参加した。まず、マカロニチーズというテーマはメンバーから

出てきた。チョン・ソネ、ユ・ヨンジョン、ジアナ、ドウンが作詞家としてクレジ

ットに名を連ねた。音源に入った効果音もメンバーのアイデアだ。

大衆に第一印象を与えるデビュー曲を、マカロニチーズという日常的でありながら

これまで試みられなかった新しいテーマで突破したYOUNG POSSE。CBSノーカッ

トニュースは、YOUNG POSSEのデビュー曲「MACARONI CHEESE」について気

になる点を尋ねた。今回の書面インタビュー第一弾では、YOUNG POSSEのメンバ

ー全員とキゲン総括プロデューサー、シン・ジュンホ企画総括が回答した。

キゲン総括プロデューサーによると、YOUNG POSSEはデビュー前から歌詞を書いて

メロディーを作る練習をしていたそうです。彼は「会社で毎週様々なビートを作って

提供するには限界があり、タイプビットやサンプルを積極的に活用し、可能な限り様

々なジャンルの音楽に自然に触れることができた」とし、「練習生だけのソングキャ

ンプと言えば理解が早いだろう」と説明した。ソングキャンプとは、複数の作曲家が

集まって作曲する方式で、K-POP制作過程ではよく見られる。

 

ある気だるい午後、創作時間に「些細なことから生まれた曲」である「MACARONI 

CHEESE」を巡って、キゲンプロデューサーは「長いトレーニング期間の中で自然

に訪れたメンバーの食欲が反映されたメンバーが曲作りに100%貢献した曲」と話

した。タイトル曲の重要性を認識していたが、「大衆のためのタイトル曲を作ろう

と思って作業した瞬間はなかったと思う」と強調したキゲンプロデューサーは、

「『MACARONI CHEESE』は、"とても些細で最も自然な曲でデビューしよう"と

いう哲学を維持し、メンバーと一緒に作業室で頻繁にコミュニケーションをとった

結果」と伝えた。

 

YOUNG POSSEの1stミニアルバム「MACARONI CHEESE」

には、同名のタイトル曲を含む全4曲が収録されている。

 

 

他の曲を抑えて「MACARONI CHEESE」がタイトルになった理由は何だろうか。 

リーダーのチョン・ソネは「タイトルとして楽しい要素が多く、"食べ物"という

コンセプトが様々なイメージやコンテンツを想像させるので、デビューアルバム

として良いテーマだと思った」と明かした。見た瞬間に"記憶に残る"曲という点

も功を奏した。チョン・ソネは「私たちが本当に楽しみながら作った曲なので、

一般の方々も一緒に楽しんでいただけると思いました」と付け加えた。

ドウンは「『MACARONI CHEESE』をテーマにしたK-POPは私たちが唯一だと

思います。テーマから私たちだけの奇抜な想像力をお見せできるのが最大のメリ

ットだと思う」とし、「曲のテーマから制作過程まで、メンバー全員が意見を出

して参加したため、愛着が更に増したと思う」と展望した。

ウィ・ヨンジョンは「繰り返される歌詞で中毒性があり、ずっと聴いてしまうと

いう点がデビュー曲としての最大の長所」と挙げた後、「私たちの物語を直接溶

け込ませたので、チームの色も一番よく見せられると思った。後半のアドリブ部

分の振り付けもメンバーで考えました。私たちYOUNG POSSEが直接考えて作っ

た面白い要素が多いので、この曲で活動したいと思った」と伝えた。

ジアナは「他の曲もいいけど、"MACARONI CHEESE"は各メンバーの個性を見

せるディテールが多く、私たちの魅力を一番よく表現できると思った。この曲

だけが持つ最大の強みは、中毒性のあるフックのおかげで曲自体が記憶に残り、

YOUNG POSSEを印象づけるのに適している点」と話した。

 

末っ子ハン・ジウンも「初めて聴いた時から、繰り返されるサビの部分が多くの

大衆の記憶に残りやすいと思った。中毒性が強く、もう一度でも聞きたくなり、

歌いたくなり、探してしまうのが"MACARONI CHEESE"の長所」と付け加えた。

 

アニメで作られたYOUNG POSSEデビュートレーラー。

 

 

チョン・ソネ、ユ・ヨンジョン、ジアナ、ドウンは「MACARONI CHEESE」

の作詞にも参加した。「うまくやろうとするより、本当に私たちの本当の話

を書きたかったので、作業しながら本当に多様でとんでもないテーマを投げ

かけた」というチョン・ソネは「"こんなものを歌詞に書けるだろうか"と思

うものも"YOUNG POSSEらしさ"で磨く過程がとても楽しかったし、不足と

は別に、今の時点で私たちだけが書ける話でデビューしたという事実がとて

も誇らしいです」と明かした。

ウィ・ヨンジョンは「この曲が完璧に完成するまで、作業や練習とは別に、ただ

流して遊びながらたくさん聴きました。多くの努力と思い出が込められた曲を他

の方々と一緒に聴けるということがとても幸せで、不思議な感じもします。最近、

ソーシャルメディアに「MACARONI CHEESE」をカバーしてくださったファンの

方々の映像がたくさんアップされていますが、そういうのを見るときが一番誇ら

しいです」と語った。

「MACARONI CHEESE」を通じて初めて作詞に挑戦したというドウンは「私が

書いた歌詞がデビューアルバムに収録されるという事実自体が本当に不思議です。

私の考えや心を多くのファンと共有できることが感動的で、おかげで曲を作る事

に対する欲がたくさん出てきて、最近では作曲の授業を一生懸命受けています」

と伝えた。

ジアナは「私たちはこの曲を書きながら、何十回も修正を重ねました。修正する

たびに曲のクオリティ(質)が上がり、またそれに合わせてより良いアイデアが浮

かびました。この過程で成長し続けていることを感じられるのが、とても楽しく

て誇らしいです。初めて出す曲なので未熟な部分もありますが、私たちが直接作

った曲ということで満足度が高いです」と答えた。

 

2分25秒間、「MACARONI CHEESE」という言葉が18回繰り返される中毒性

の強いこの曲は、飛行機や電子レンジなど日常で聞くことができる音が盛り込

まれている。キゲンプロデューサーは「飛行機の音はYOUNG POSSEメンバー

のアイデア」とし、「編曲しながら様々なバージョンの"MACARONI CHEESE"

があったが、ある日、メンバーが飛行機の効果音を入れて聞いてみたいと言い、

プロデューサーのリック・ブリッジス(Rick Bridges)と様々なサンプルを探した」

と語りました。

 

第61回グラミー賞ベストミュージックビデオにノミネートされたベン・プルー監督が

演出したタイトル曲「MACARONI CHEESE」のミュージックビデオをキャプチャー

 

 

その上で「飛行機が着陸後、ドアが開く直前までの状況を示す効果音が、YOUNG 

POSSEの今の境遇と重なる気がした。長いトレーニング期間(飛行)を経て、遂に

飛行機の外(K-POPシーン)に出る直前までの状況が"MACARONI CHEESE"という

デビュー曲の運命と似ている」と明らかにした。

電子レンジの音はキゲンプロデューサーが入れた。ベン・プルー監督とシン・ジュ

ンホ企画総括が作ったミュージックビデオコンテを見た後、必要だと思いミュージ

ックビデオ撮影直前に挿入した。キゲンプロデューサーは「ミュージックビデオで

電子レンジは求心点の役割を果たし、様々な含意がある。リーダーのチョン・ソネ

のキャラクターアイデンティティが電子レンジになった理由でもある。勿論、本人

は長い練習生期間を経てデビューしたのに、結局電子レンジになったと身の程知ら

ずに嘆いたこともある」と笑いを誘った。

編曲だけで20種類ものバージョンがあるという「MACARONI CHEESE」は最終的

に「スーパーミニマル」になった。キゲンプロデューサーは「既存のヒット曲の公

式を最後まで逆行する構成が、カエルのように弾けるヨンファさんの声とよくマッ

チしたと思う。クォン・ジェスン監督が作った振り付けが本当に素敵に仕上がりま

した。ぜひ舞台を見て鑑賞してほしい」と呼びかけた。

 

2019年第61回グラミー賞でベストミュージックビデオ部門の候補となったベン・

プルー監督が、YOUNG POSSEのデビュー曲のミュージックビデオを演出した。

ベン・プルー監督が作ったアメリカのヒップホップアーティストTOKENとJ.I.Dの

「Boom」のミュージックビデオを見て「新鮮なインスピレーションを受けた」と

いうシン・ジュンホ企画総括は「K-POPアイドルシーンでは珍しいミュージック

ビデオを作りたいと思い、その時にベン監督が思い浮かんだ。意図されたB級感性、

コミカルな要素、奇抜なトランジションの組み合わせがYOUNG POSSEと合致する

と確信した」と説明した。

シン総括は「あまりにも唐突だったのか、監督は最初は私を詐欺師だと確信したそう

だ。その後、YOUNG POSSEの紹介と一緒に"MACARONI CHEESE"の曲、振り付け

映像を見て初めて私を信頼したそうだ」と伝えた。

 

「MACARONI CHEESE」ミュージックビデオのキャプチャー

 

 

YOUNG POSSEのデビュー過程を間近で見てきたシン企画総括がミュージックビデオ

のストーリーを書いて送ると、ベン監督がそれを具体化した。シン企画総括は「長年、

メンバーたちが経験した多くの喜びと悲しみ、アップ&ダウンで揺れ動く感情をミュ

ージックビデオの中の奇抜でコミカルなシーンに溶け込ませようと努力した」とし、

「米国にいるベン監督とコミュニケーションするために昼夜を問わずビデオミーティ

ングを行い、個人的に満足できる結果が出てうれしかった」と明らかにした。

「MACARONI CHEESE」ミュージックビデオの魅力を尋ねると、チョン・ソネは

「一つの食べ物から始まったストーリーが目に見える作品になったのが一番面白い

です。メンバーたちが"MACARONI CHEESE"を媒介に幻想と現実を行き来しながら

様々な経験をするが、その姿がデビューを控えて夢と現実の境界で混乱していた私

たちの姿と重なって見えた。大きく見れば"MACARONI CHEESE"の話だが、深く

見るとミュージックビデオもYOUNG POSSEの話だという点が一番面白くて魅力的

だと思う」と答えた。

ウィ・ヨンジョンは「ポップな色でいっぱいのミュージックビデオなので、一度見た

ら残像のように目や頭に浮かぶ感じがしました。私たちメンバーの脳内を見せてくれ

るような奇抜なところが魅力です」と、ドウンは「初めて見たとき本当に驚きました。

今まで見たミュージックビデオとは違う感じでした。ちょっと奇抜でユニークだけど、

かわいいポイントもたくさんあります。まさに私たちYOUNG POSSEをうまく表現し

たイメージのようです」と語った。

 

ドウンと同じく、ミュージックビデオの最初の感想が「本当に特異なんです」と話し

たジアナは「ミュージックビデオの中の場所がどんどん変わりながらメンバーが様々

な冒険をする内容ですが、とても華やかでユニークな背景と様々な色味で、一度見た

ら興味が倍増し、もう一度再生するしかありませんでした。大衆の皆さんも同じよう

に感じるでしょう。また見たくなる独特さ。これが私たちのミュージックビデオの最

大の魅力です」と語った。

ハン・ジウンは「ユニークな背景がほとんどCG(コンピュータグラフィックス)で実現

された。だからグリーンバックで撮影をたくさんしました。YouTubeにNo CGバージ

ョンのミュージックビデオもアップされている。CG前後の映像を比較できる点と、

グリーンバックでの私たちの演技力を見ることができる点が魅力的だと思う」と答え

ました。

最後に「MACARONI CHEESE」のステージで見逃せない部分を尋ねました。

 

YOUNG POSSEのミュージックビデオのネタバレ映像はアニメーションで作られた。

 

「『MACARONI CHEESE』という軽快で楽しいテーマに真心を込めてラップと振り

付けをすることで、結果的にそれを"かっこよく見せる"ことができたのが一番の魅力

だと思います。何よりもみんなで楽しめるような面白いステージを作るために努力し

ました。そしてメンバーそれぞれの個性が強いので、同じリフレインでも誰が歌うか

によって振り付けの雰囲気が全く違うところも楽しんでいただければと思います」

(チョン・ソネ)

「最後の"MACARONI CHEESE"のサビの部分で、目を繰り返し点滅させる表情がある

のですが、そこが舞台で一番気をつけているポイントです。このディテールのお陰で

ステージに没頭できるという感想を聞いたことがあるのですが、私の魅力が最も際立つ

表情だと思うので、そのポイントをぜひ見てほしいです」

(ユ・ヨンジョン)

「私が一番好きなポイントも、最後のサビでヨンジョンお姉さんの眉毛の演技です。その

ディテール一つで曲の雰囲気が一気に変わるような気がします。"MACARONI CHEESE"

は、実は振り付けに本当に面白い要素がたくさん入っているので、音源だけでは楽しめ

ない魅力を、ステージでたくさん発見できると思います」

(ドウン)

「私たちの振り付けは、歌やラップをする主人公に合わせたものではなく、それぞれ

が振り付け的に役割を持っているので、見ていて楽しいと思います。"MACARONI 

CHEESE"のステージの最大の魅力はディテールです。ディテールを発見すればする程、

文字通り"おいしい舞台"に見えると思います。例えば、私のパートで"Pop me some 

soda"というフレーズがあるんですけど、私の役割は力を込めてソーダの蓋を開けるん

です。その時、メンバーはソーダを開けた時に出てくる気泡を表現してくれるんです。

そして蓋を開けるために力を込めていることをウィンクで表現してくれるんです。それ

ぞれが担当するディテールを表現しながら、私たちに与えられた舞台という大きな絵を

描いていけるのがすごく楽しいです」

(ジアナ)

 

〈続く〉

 

 

(CBSノーカットニュース)

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CBSノーカットニュースさんに「MACARONI CHEESE」のデビュー活動での

突飛な"演出"についての解説をBEATSのキゲンプロデューサー並びにメンバー

自ら行うインタビュー記事が掲載されていました。非常に丁寧な解説が加えら

れていて「ここの演出って印象に残るし、面白いんだけど何を意図して?」と

いった部分が解消されるかと思います。前後編に分けられたインタビュー記事

の前半はタイトル曲「MACARONI CHEESE」について、後編は「MACARONI 

CHEESE」のアルバム、収録曲やフィジカルの構成についても語られています。