鯵。 | a sense of rhythm

鯵。

おまっとさんでした。

富士宮やきそ純です。



肉かすのような人生を送っています。










その日の夜、布団の中で見慣れたはずの天井をずっと見つめていた。



「寝れない…」













ウキウキウォッチングが流れる時間、腹がヘリヘリウォッチング。


ワイドでスクランブルな人混みを潜り抜け、辿り着いた定食屋での自分のひるおびは唐揚げ定食。




生姜醤油の香ばしさに包まれたジューシーな唐揚げ。


それを口に入れると改めて感じる時間。




そう、この日この時ヒルナンデス。












「あの…魚は大丈夫ですか?」






唐揚げを楽しんでいた俺に、優しそうな店主が声をかけてきた。




その手に持つ小皿には、アジのみぞれ煮が。




「良かったらどうぞ、食べてください」












眩しい太陽が目に染みたっけ…。





「いいんですか!?ありがとうございます、いただきます!」





暑い真夏の空を忘れるほど、涼しげな笑顔を見せる店主。





この想い…忘れない。








店主の気持ちを噛み締めながら、アジも噛み締めようとしたその時…










「またあんたは!なんでいつもそういう事するの!?」







厨房から溢れ出す怒号。





「余裕無いっていつも言ってんでしょ!」







恐らく奥様。






箸を持つ手の動きが止まるのは言わずもがな。








…食べにくい…。





やっぱりいいです…なんて言えるわけない。



アジ苦手なんです…なんて今さら言えるわけない。




ダイエット中なんです…なんて唐揚げをガッツキながら言えるワキャナイドゥ。










確かにこの店、お世辞にも繁盛してるとは言い難い。





しかも最近、道路を挟んだ目の前に、某有名店からのれん分けしたラーメン屋が出来た。



言うまでも無く連日行列。






でも俺はこの店の味が好きだから。




あなたの事がスキダカラー。









店主からしたら、


『サービスするからまた来てね』


っていう意味を込めたアジなんだと思うが…。




疾風怒濤という言葉しか当てはまらないほど、まくし立てる奥様。





ケンカをやめて。


二人を止めて。



ワタシとアジのために争わないで。




竹内まりやは、ここから歌詞のヒントを得たのだろう。








「そんなお人好しだから周りから言われんの!高そうなメガネだって!」






あーなるほど、お人好しだから高そうなメガネだって言わ………いや、どういうこと?





こんなに点と線が繋がらない事って、かつてあったか?






24時間テレビのマラソンランナーが日本武道館じゃなく両国国技館に行ったような気分。



そこに徳光さんはいない、いるのは武蔵丸だけだ。by織田裕二。





とにかく!!










ごっつぁんです。












今日も読んでくれてありがとう。




その日の夜、高そうなメガネとお人好しの関係性について悩みすぎて、眠れなかった。