仕事中のケガなど、つまり業務災害(労災)のお話しです。
2月11日の日本経済新聞朝刊からご紹介します。

 

 

小売り労災が建設超え、20年間で4割増 介護は6倍超
平和堂、作業手順を作成 高齢化・自動化遅れ響く

 

 

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小売業で労働災害の増加が深刻だ。年間の死傷事故件数は過去20年で4割増え、建設業を上回った。主な原因は従業員の高齢化と自動化の遅れだ。建設や製造と比べ死亡や重いケガが少なく、安全への意識が不十分なことも背景にある。全社的な労災対策で成果をあげる企業はスーパーの平和堂など一部。人手不足が進むなか、店舗を維持するには対策強化が必要だ。

「社長の平松です。新年が幕を開けました。くどいようですが今年も転倒には注意しましょう」。1月初旬、初売りの準備が進む平和堂の各店舗で経営トップのメッセージが響いた。開店45分前の店舗に一斉に流す朝礼放送で、従業員に安全な作業を訴える。マンネリ化を防ぐため、平松正嗣社長が毎月、録音をし直す力の入れようだ。

関西地盤の平和堂は労災防止に取り組む。従業員の一つ一つの作業を分析し、安全対策を盛り込んだ手順に落とし込む。例えば、鮮魚や青果を調理する際は切り傷を防ぐ手袋着用を義務化。転倒防止のため脚立の天板に乗ることを禁止した。対策は本部の発案だけではなく現場も知恵を絞る。

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経営者の安全意識の低さも指摘される。単純なミスでも致命傷につながる恐れのある製造業などと異なり、小売りの現場で起きる事故の多くは転倒や切り傷など軽微なものが多い。中央労働災害防止協会(中災防、東京・港)の竹越徹理事長は「製造業や建設業では経営と安全は不可分だが、小売業にはそうした認識が比較的薄い」と話す。

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小売業以上に労災事故が急増しているのが介護を中心とする社会福祉施設だ。21年に発生した休業4日以上の死傷事故は新型コロナ罹患(りかん)を除いて1万3千件超と、過去20年で6倍を超えたもようだ。介護従事者は同じ20年で3倍以上に増えたが、事故の増加件数はそれを上回る。

最も目立つ労災は腰痛だ。入居者の移動や入浴を支援する作業で、腰に力を入れて持ち上げる動作を要するからだ。腰痛は慢性化すれば職員の日常生活にも影響する。

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小売りと介護はともに人間を相手にする仕事だ。事故防止に特効薬はなく、地道な業務改善の積み重ねが欠かせない。

 

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