残念なことに、レトロな物が一つなくなります。
1月14日の日本経済新聞朝刊からご紹介します。
京急「パタパタ」姿消す 川崎駅ホーム発車案内装置
来月中旬に廃止
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京浜急行電鉄はプレートが音を立てて回転し電車の行き先を知らせる駅ホームの発車案内装置を、2月中旬に廃止する。レトロさと「パタパタ」の愛称で鉄道ファンに人気があり、同社では京急川崎駅(川崎市)に唯一残っていた。引退記念のグッズ販売やツアーを企画している。
京急によると、正式名称は「フラップ式列車発車案内表示装置」で1986年に初導入。同社は最大10駅ほどに設置し、他の鉄道会社でも広く使われたが、発光ダイオード(LED)の表示装置に置き換えられ、姿を消しつつある。京急川崎駅に現存するのは、2001年設置の"2代目"という。
京急はパタパタを模した台紙とセットの記念乗車券やキーホルダー、定規などを販売する。2月4日の終電後には京急川崎駅でナイトツアーを実施し、参加者のリクエストに応じてさまざまな行き先を表示する。
ここまで
昔、私は仕事でこの「パタパタ」を使っていました。
私は新卒の際の配属が、大阪(伊丹)空港でした(心の中では、羽田空港希望だったのですけど…)。
空港でチェックインする際、昔は行き先ごとにカウンターが決まっていました。
そのカウンターの上部に、この「パタパタ」がありました。
私たちは、これを「ソラリ―」と呼びます。
国内の航空業界では、「ソラリ―」という用語で通じます。
チェックインする際、自分の前にそのカウンターを使用した担当者が、ソラリ―(行き先/便名/出発時刻/備考)をセットしてくれています。
この「備考」のところには、「搭乗手続 90分前から」などと表示させます。
いざ、自分が担当のチェックインの時間になると、まずはソラリ―を確認します。
そして、備考欄を「搭乗手続中 空席あり」または「搭乗手続中 満席」等になるようにあらかじめセットします。
この時点で、数名のお客様が並んでいることもあります。
さぁ、アナウンス…。
「皆様、おはようございます。
〇〇(会社名)から、〇〇(行き先)へご出発のお客様にご案内致します。
ただいまから、〇〇行き、定刻〇時〇分発、〇〇〇便のご搭乗手続きを承ります。
ご利用のお客様は、航空券とお手荷物をお持ちの上、〇番カウンターへお越しください。
この便を担当しますのは○○(苗字)、お手荷物をお預かりしますのは〇〇(苗字)でございます。
本日も早朝から、〇〇(会社名)をご利用くださいまして、ありがとうございます」
こんな感じだったと思います。
東京行きなどの幹線のチェックインの際には、この後に英語のアナウンスをすることも…。
やりませんでしたけど…。
そして、アナウンス前にセットした「搭乗手続中 空席あり」や「搭乗手続中 満席」などという表示にソラリ―を切り替えます。
これを誤って、「欠航」とか出してしまうことがあり、お客様から「欠航すんのん?ホンマか?」などと突っ込まれることもありました。
そんな時には、慌ててソラリ―の表示を正しいものに変更…。
お客様にお待ちいただくわけにいかず、近くにいる女性先輩グランドホステスがチェックインを始めてくださったり…。
出発ロビーや到着ロビーのソラリ―には、すべての航空会社のフライトが時刻順に表示されています。
ですから、サイズが大きいですよね。
一つのフライトが出発または到着すると、最上段のソラリ―が消され、一段ずつ繰り上がり、最下段に新しいフライトが表示されます。
ですから、「パタパタ」という音がとても賑やかです。
私は、この音がとても好きでした。
仕事が終わった後、誰かと待ち合わせる際には、「アライバル(到着ロビー)のソラリ―前でね」なんて感じで使うこともありました。
「ソラリ―」という言葉自体が、本当に懐かしいです。
川崎に引っ越してきて、京急川崎駅をはじめて利用した時、「へぇ、ソラリ―があるのか」と喜んだものです。
哀愁があるというか、レトロ感があるので残してほしいですけど、技術は進歩するものですから仕方ないですね。