記事の見出しを一見すると、新型コロナによる労災が認められる確率が少ないようにも思えますが…。
11月16日の日経朝刊からご紹介します。

 

 

コロナ労災、感染者の1% 「経路不明」対応しない場合も
周知や職場理解に課題

 

 

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新型コロナウイルス感染者のうち、労働災害が認定されたのは約1%にとどまることが厚生労働省のまとめで分かった。業務起因の感染なら労災の対象となるが、一般の企業では「感染経路が不明確」などを理由として対応しないケースがある。ただ、職場でのクラスター(感染者集団)発生は多く、制度の周知や企業側の理解が求められる。

「生活に必要最低限の外出しかしていなかった。職場で感染したとしか考えられない」。2020年8月に陽性となった事務系の契約社員の40代女性は、自宅療養を経て入院した。退院後、上司に労災保険の申請を申し出たが「まずは有給休暇を消化してほしい」と提案された。

労災が認定されれば、業務に当たれなかった一定期間は給付金が渡され、有休を消化せずにすむ。女性が「何とか労災にならないか」と訴えると「職場でない場所で感染したのではないか」と退けられた。

支援団体に相談して自ら労働基準監督署に申請したが、会社が必要な書類を示さず、手続きは思うように進まなかった。その後も体調悪化で断続的に休まざるをえず、別の給付金制度などを活用し始めた今年2月、ようやく労災と認められ支給が開始された。

女性は「職場内でほかに感染している人がいた。会社は感染拡大を隠したかったのではないか」と憤る。体調がすぐれず、結局3月に退職。感染から1年を経た今も後遺症に苦しみ、職に就けない状況が続く。

医療や介護の従事者であれば、業務外での感染が明確でない限り、原則労災の対象だ。他の業種でも業務起因が明らかな場合のほか、感染経路が不明でも多くの顧客と接する労働環境だった場合は対象となる。

厚労省の集計では、コロナ感染に伴う労災保険の申請件数は9月末で1万8637件。このうち認定されたのは1万4834件だった。170万人超の感染者総数の1%弱となっている。

認定は医療従事者が77%(1万1403件)だった。同省担当者は「職場で感染した可能性が高いと判断しやすい医療従事者以外は、そもそも申請自体が少ない」と話す。

 

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