現在、川崎浮世絵ギャラリーで、「月岡芳年『月百姿』」が開催中です。
昨日、行って参りました。
「月百姿」は、「つきのひゃくし」または「つきひゃくし」と読むそうです。
難しい固有名詞が並んでいるとお思いのことでしょう。
簡単に言いますと、月岡芳年という絵師が書いた「月百姿」という浮世絵の揃物(そろいもの)です。
「揃物」とは、ある一つのテーマに絞って複数枚の作品をシリーズ化したものです。
この川崎浮世絵ギャラリーは揃物を展示してくださるので、鑑賞する側としては一点に絞れてありがたいです。
先日ご紹介した、歌川広重の「名所江戸百景」も揃物です。
歌川広重のいろいろな作品を展示されるより、一つの揃物が一堂に会する展示の方が、私のような初心者には分かり易くてありがたいです。
他には、「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」も揃物です。
浮世絵と言えば「江戸時代」を連想されるかと思いますが、この「月百姿」は明治20年前後の作品です。
昔の和歌やかつての古典作品を一枚の浮世絵で表現したものが多く見られました。
(当たり前ですが)インターネットのない明治時代に、これらの和歌や古典作品の内容をどうやって得ることができたのでしょうか。
この月岡芳年という絵師のところには、多くの情報が集まってきた、あるいはご自分で研究されたと見られ、それを的確に一枚の絵で表現しています。
予習しましたところによりますと、この月岡芳年は「血みどろ絵」で有名とのこと。
いわば、人が槍や刀で刺されて血が流れているシーンの絵が有名だそうです。
幕末から明治にかけて活躍したとのことですので、戊辰戦争や西南戦争の影響を大きく受けていたのかもしれないですね。
この「月百姿」には、そういった「血みどろ絵」は全くありません。
そういった類のものが苦手な方でも、十分楽しむことができます。
会期は、前期が8月22日(土)~9月13日(日)、後期が9月19日(土)~10月18日(日)です。
明治時代の傑作を観るために、是非とも川崎へ!