新型コロナによる影響で、新卒の方たちの「内定取消し」というニュースをちらほら目にするようになりました。
果たして、内定取消しは有効なのでしょうか、それとも無効なのでしょうか?
3月27日の日経朝刊からご紹介します。
新型コロナで「内定取り消し」 4要件満たなければ無効
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月入社予定の新卒学生らの待遇が不安定になっている。入社予定の会社に内定を取り消されたり、当面の自宅待機を指示されたりした場合、法的にはどう理解し、どう対応すればいいのだろうか。
内定は、法的には企業と入社予定者の間に労働契約が交わされた状態を指す。だから「入社予定者の内定取り消しは解雇に準じて考えるべきだ」(企業の労務に詳しい木下潮音弁護士)。労働契約法が定める「解雇権の乱用」の規定が適用されるため、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効だ。
確認しておきたいのは、整理・解雇の要件だ。企業が深刻な経営悪化などを理由として内定を取り消すことは整理解雇として認められる。ただし(1)人員整理の必要性がある(2)解雇回避のために最大限の努力をした(3)解雇対象者の選定が合理的(4)手続きが妥当――の4つの条件をすべて満たすことが必要だ。
内定を取り消すのは非常にハードルが高く、業績見通しが厳しいといった程度では認められない。労働問題に詳しい嶋崎量弁護士によると、内定取り消しが有効になるのは倒産が不可避だったり、倒産を避けるため整理解雇が欠かせなかったりする場合に限られる。
実は内定取り消しより可能性が高いとみられているのは、企業が内定者に4月以降に自宅待機を命じたり、入社辞退を強要したりすることだ。企業側の責任で社員を休業させた場合は、労働基準法に基づき社員に平均賃金の60%の休業手当を払わねばならない。
嶋崎弁護士は「立場の弱い学生などは、企業側の働きかけに応じてしまうケースも考えられるが、応じる必要はない。会社側が事実上、一方的に内定を取り消す権利はないので、簡単に応じてはいけない」と指摘している。
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