同一労働同一賃金の影響が、正社員に…。
11月22日の日経朝刊からご紹介します。
正社員の手当が消える… 非正規と格差是正の2法施行へ
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来年4月、賃金や手当、福利厚生すべてについて、正社員と非正規社員の格差を埋めようとする同一労働同一賃金関係2法が施行される。格差是正のため、企業は正社員側の家族手当や住宅手当の縮小を始めているが、正社員の気持ちは生活保障給の一部である手当削減に追いつかない。
「なぜ手当廃止や見直しを受け入れたのか」「年収ベースの賃金は確保してほしい」。2018年、日本郵政グループの正社員からそんな声が湧き起こった。
日本郵政グループ労使は18年から2年がかりで5種の手当と3種の休暇を大きく変えた。手当のない非正規社員の一部が同社を訴えた裁判を横目で見ながらの改革でもあった。グループ労働組合の栗田進中央執行委員は「不合理性をなくす目的だったが、18年段階では唐突感から正社員に不満の声が出た」と話す。
変更は広範だ。一般職正社員にも支給していた月最高2万7000円の住居手当を10年かけて減らし、最終的にはやめる。寒冷地手当は5年で半減、年末・年始勤務手当のうち年末手当を廃止する。一方でアソシエイト社員(無期転換後の非正規社員)と有期社員には1回4000円の年始手当を新設した。
20年4月からは扶養手当のうち、正社員に月1万2000円支給してきた配偶者手当を段階的に半減。アソシエイト社員には配偶者手当4800円(フルタイムの場合)などを支給する。
正社員の不満の声は今後、全国に広がりそうだ。来年4月施行のパートタイム・有期雇用労働法と改正労働者派遣法の2法は正社員と非正規社員の仕事で(1)業務内容(2)配置変更の範囲――に差がなければ待遇も同一とする。その他の事情の視点を加えて比較し差があった場合でも、不合理でない待遇にするよう義務付けた。
正社員の手当や福利厚生は今後、多くの会社で削減されそうだ。正社員なら生活保障給を得られるとの考えを脱し、生計プランを見直す必要がある。
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