パワハラのご相談をいただいた際、一番困るのがそれを証明できるかということです。
5月11日の日経朝刊からご紹介します。
パワハラ証明に「秘密録音」 民事裁判で採用相次ぐ
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企業にパワーハラスメント(パワハラ)対策を義務付ける法案が国会で審議されている。民事裁判ではパワハラを不法とする判決が相次ぐ。その証拠の多くは、被害者がひそかに録音した上司の罵声だ。誰もがスマートフォン(スマホ)を持つ今、秘密録音への抵抗感は薄れる一方。企業は録音を前提にパワハラ発生に備える必要がある。
40代の女性がJPモルガン・チェース銀行を不当解雇で訴えた裁判。同行は秘密録音を解雇理由の一つとしたが、東京高裁は2017年の判決で「秘密録音は銀行の行動規範に反するが、事情を踏まえれば解雇理由とまではいえない」との判断を支持、解雇を無効とした。
原告代理人の弁護士は「秘密録音の目的が不当解雇やパワハラの証明に限られる場合、従業員の懲戒は裁判でまず通らない」と話す。
パワハラ裁判で、録音データは有力な証拠だ。
パワハラはセクシュアルハラスメント(セクハラ)と異なり、職務上の指導との境界が曖昧だ。労働施策総合推進法改正案では裁判例を基に(1)優越関係を背景に(2)業務上必要かつ相当な範囲を超え(3)就業環境を害する言動――をパワハラとしている。
裁判官はこうした基準を念頭に、発言内容と回数、その場の雰囲気、背景などを総合的に心証判断してパワハラの有無を決める。録音によって発言が具体的に分かればより判断しやすくなる。無断であっても「録音が著しく反社会的な手段によるものでない限り、証拠として有効」という東京高裁の判決が踏襲され、問題とされない。
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