話題になりましたマタハラに関する最高裁判決について、10月24日の日経朝刊から抜粋します。


妊娠、合意ない降格無効 マタニティーハラスメント 最高裁初判断

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妊娠を理由にした降格が男女雇用機会均等法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は23日、妊娠や出産を理由にした降格は「本人自身の意思に基づく合意か、業務上の必要性について特段の事情がある場合以外は違法で無効」とする初判断を示した。
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この裁判は、病院に勤めていた理学療法士の女性が、勤続約10年で管理職の副主任になりましたたが、妊娠が分かり軽い業務への転換を希望したところ、副主任から降格させられ、復職後も職位復帰できなかったというものです。


男女雇用機会均等法では、女性労働者が妊娠・出産したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。
「降格」は、この「不利益な取扱い」の一つに該当します。


今回の最高裁の判断において、この降格は、
①本人自身の意思に基づく合意
または
②業務上の必要性について特段の事情がある
ということでなければ違法で無効であるとされました。


企業における人事労務の実務では、さまざまな場面で①の合意について慎重である必要があります。
過去の裁判例では、たとえば賃金と何かを相殺する場合や、賃金そのものを放棄する場合、あるいは賃金の額を減額する場合等について、合意が必要であることはもちろんのこと、「自由な意思に基づく合意」が必要とされています。


企業実務では、労働者と何かを合意する場合、強制することなく自由意思で合意をしてもらうことが必要です。
特に、賃金や身分の変更などの重要な局面では、書面による合意を取っておくことを強くお勧めします。