労災関連のお話を、9月6日の日経朝刊から抜粋します。
「名ばかり専務」で過労 自殺男性に労災認定 社長にパワハラ受ける
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神奈川県大和市の物流業A社の元専務で、2011年6月に自殺した男性(当時54)について、厚木労働基準監督署が、パワハラや過労によるうつ病が原因として労災認定したことが5日、分かった。
遺族側代理人のK恵弁護士が明らかにした。認定は8月28日付。
K弁護士によると、男性は09年に専務になったが、実態は社長の指示に従って事務作業を行うなど「名ばかり専務」だった。
11年5月に部下の不正経理問題があり、社長からメールで「ばか」「アホ」とののしられたほか、同年6月になって自殺を図ったことを社長に伝えた際には、包丁を突きつけられ「死ね」などと言われたという。
男性はその3日後に自殺。会社駐車場に止めた車内で死亡しているのが見つかった。
一方、男性の手帳からは、自殺前の半年間に、月100時間を超える残業が3回あったことが判明。
月2回ほどは会社駐車場の車の中で未明に仮眠を取る状況が続いていた。
厚木労基署は、11年5月下旬にうつ病を発症したと認定。
K弁護士は「専務の肩書があっても、社長の指揮で事務作業する労働者と認められた」としている。
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お断り:社名および弁護士名は記事では実名でしたが、イニシャルとしました。
労災保険は正式名称が、労働者災害補償保険法です。
つまり、労働者に対する災害の補償です。
一般論ですが、専務などの役員である取締役や理事などは労働者ではありませんので、労災保険の対象外です。
しかし、専務などの役員でも、社長などから事実上指揮監督を受けている場合で、その対償として賃金を受ける場合、労働者とされて労災保険の適用を受けることができる場合があります。
今回の例は、その最たるものです。
誰でも労災保険を受けられわけではなく、実態に応じて認定されます。
「名ばかり管理職」と言って、未払いの残業代を請求できるケースがあります。
それに対して、「名ばかり専務」という労災保険の請求。
グレーゾーンが多く、なかなか難しいですね。