1月25日の日経朝刊から抜粋します。
添乗員、みなし労働認めず 最高裁判断、残業代支払い確定
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海外旅行の添乗員について、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」を適用するのは不当として、派遣添乗員の女性が未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は24日、「労働時間算定が困難とはいえない」との判断を示した。
最高裁は、みなし労働制が適用されるかどうかについて「業務の性質、内容や状況、指示や報告の方法などから判断すべきだ」と指摘。今回のケースでは、会社はあらかじめ旅程管理に関して具体的な指示をしており、ツアー中も国際電話用の携帯電話を貸与していたほか、終了後は日報で詳細な報告を受けていたことなどから「労働時間の算定が困難とはいえない」と結論付けた。
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労働基準法第38条の2(一般的に「事業場外みなし労働制」と呼びます)にまつわる最高裁判例です。
同条第1項では、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」と定められています。
何のこっちゃ、難しい条文ですね。
簡単に言いますと…事業場外、つまり会社の事務所以外で仕事をした場合は、労働時間を算定するのが困難かも…と。そんな労働時間を算定するのが困難な場合に限っては、所定労働時間働いたものとみなしましょうというものです。
つまり、所定労働時間を超えてようが超えていまいが、何時間働いたかを会社が把握・算定できないのだから、そんな場合は所定労働時間働いたことにしましょう…と。
添乗業務はあらかじめ旅程管理の計画表を作成するだろうし、携帯電話を持たせているし、日報で仕事の内容を報告もしているのだから、会社は何時間働いたか把握・算定できるでしょ…と。
労働時間を算定することができるのだから、たくさん働いた場合には残業代も払いなさいよ…というオチになると思われます。
一概には言えませんが、今後は外回り営業や出張などの事務所以外で働く人にも、この事業場外みなし労働制の適用について何らかの影響が出てくるかもしれません。
(注)ご理解いただけるように分かりやすく、かつ端折って書きました。さまざまな例外等がありますので、その点はご理解くださいませ。