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昨日(11月13日)の日経朝刊から抜粋します。


リコーの出向命令無効 東京地裁判決「人事権の乱用」

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リコーの退職勧奨を拒否し、子会社に出向させられたのは不当として、技術職だった男性社員2人が元の職場への復帰などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日、「出向命令は人事権の乱用」として命令は無効と判断した。退職勧奨については「社会通念上相当な範囲だった」とし、損害賠償請求は退けた。リコーは控訴した。

2人はリコーでデジタル複合機の設計開発などに従事していたが、2011年に物流事業の子会社に出向し、商品の箱詰めや検品を指示された。

裁判官は判決理由で「子会社では立ち仕事や単純作業が中心で、それまで一貫してデスクワークに従事してきた2人のキャリアに配慮した異動とは言い難い」と指摘。「出向命令は退職勧奨を断った2人が自主退職に踏み切ることを期待したもので、人選も不合理だ」として会社側の権利乱用を認めた。

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出向に関しては以下の通り、労働契約法という法律の第14条で規定されています。
(出向)
第十四条  使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。



出向は転籍と比べて、比較的それを命じやすいと言われています。

転籍をさせる際には、その際に転籍の対象者から「転籍してください」に対して、「はい、分かりました」といった個別の同意を取る必要があります。

一方、出向の場合には個別の同意ではなく、包括的な同意で足りるとされています。つまり、就業規則に「出向させる場合がある」と定めておいて、その就業規則を入社の際に誓約書などで同意してもらった上で、その就業規則を周知しておけば、個別の同意がなくても出向を命じることができます。加えて、出向をどのような条件で行うかに関する規定を整備しておくこともお勧めします。


言わば、出向は社内異動と近いぐらいの手軽さがあると言えます。
と言いつつも、労働契約法第14条にある通り、「その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合」には無効となります。


記事のケースでは、「キャリアに配慮した異動とは言い難い」という事情と「自主退職を期待した人選は不合理」という対象労働者の選定に係る事情でもって、この出向を権利の濫用として無効と判断している模様です。

先に申しました通り、出向は社内異動と同じぐらいの手軽さがありますが、権利の濫用がある場合は無効となることがあることを是非お知りおきください。


最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。