ロストケア | こぶたのしっぽ

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ロスト・ケア/葉真中 顕(はまなか・ あき)
¥1,620
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「ロストケア」を読みました。

現実の社会で起こっていること、起こり得ることを描いた小説。

介護で追いつめられる人や、社会のひずみ、落とし穴にはまり

もがきや苦しみ、絶望をリアルに描き、現代社会の批評にも

なっています。

現実問題として、絶望のような日々があった場合

それを失うことによって救われるという側面は

確かにあるかもしれない、というようなことを

考えさせられる作品でした。

ミステリーとしても、「あっ!そっちか!?」という

どんでん返しはありますが、

個人的に読んでて一番印象に残ったのは

「安全地帯にいる人」

という言葉です。

確かに、綺麗ごとというか、正論を言う人に限って

本人自体は、絶望にもがいている人たちとは絶対に交わらない、

同じ場所にはいない。

それどころか、そちらに行く可能性もほとんどない、という場所にいると

この作品では言っています。

で、本を読んでて思ったのは、現実を見まわしてみて

その通りかもしれないなあと思う程

うなずける凄く腑に落ちるリアルな言葉だと思いました。

「所詮、安全地帯から、ものを言う人」

この言葉が、この本を読んでいて一番印象に残りました。