私という運命について | こぶたのしっぽ

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私という運命について (角川文庫)/白石 一文
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女性にとって、恋愛・結婚・出産・家族・死とは?

1人の女性の29歳から40歳までの揺れる10年を描き、

運命の不可思議を描き出す、感動的な小説です。

最初、読み始めるまで時間がかかったのですが、

読み始めると、不思議と読み進んだ小説でした。

女性の10年を描いた小説ですが、劇的な展開、

ドラマチックな展開で引き込むというよりは、

誰にでも起こりうる、誰もが感じ、1度は思い悩んだり考えたり

頭によぎったり、そんな生きていれば起こりうる部分を

丁寧に描くことによって、人の人生の不可思議な部分、

大きな流れ、運命のうねりを読者にみせてくれます。

平凡のようでいて平凡ではない、かといってドラマのような

盛り上がりがあるわけではないが、人が生きるということは

それ自体がすでに大きな運命の中にあるものであり、

そのことを本人が知る、感じる、自覚すること自体、時間が

かかるものでもある。

運命というものは決められているものなのかもしれない

そんな風に思うことも多々あるこの数年の自分としては

この小説を読んでいて、ラスト、泣いてしまいました。

歳だからといわれれば、そうかもしれないけど、

大きな運命の流れをリアルに描いたこの作品に

自分は涙せずにはいられませんでした。