天使の報酬 | こぶたのしっぽ
- 天使の報酬/真保 裕一

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サンフランシスコで日本人女子大生・霜村瑠衣が失踪し、日本から駆けつけた父親
立会いのもと、アパートの捜索が行われた。
外務省法人保護担当領事・黒田康作も現場に立ち会ったが、当の父親は、娘の
失踪の理由を知っていながら隠している様子。
瑠衣の容疑は単なる窃盗ではなく、テロ準備罪!?
黒田が調べていくうちに、彼女の周囲には不審な人物が何人もちらついていて、
何人か死亡者もでていることが判明。
黒田が失踪事件の背後に隠された真実に辿りついたとき、その重さに彼は愕然とする。
去年ドラマで放映された「外交官・黒田康作」の原作になった小説です。
勿論ですが、登場人物達の名前はドラマと同じですが、作品は小説、ドラマ全然と
言っていいほど違います。
なので、別物として楽しめます。
印象に残った文章があります。
黒田は外交官で世界を飛び回って世界の現実を知っているという前提での一文なのですが、
「多くの日本人が、この島国で子供のまま生きている。
そう感じてならなかった。
日本は半世紀と少し前、欲張って背伸びをして大人を演じ、
戦争の道を突き進み、多くの犠牲を内外に出した。
そういう悲しい事実がありながら、日本人は与えられた自由のもと無理に背伸びをした
昔の罪を忘れて、子供の生を謳歌している。」
これは自分ももちろんそうなんでしょうけど、頬を張られたようなインパクトがある
文でした。
与えられた自由の中で子供の生を謳歌している・・・。
見事にある側面では的確に言い当てている言葉かもしれません。
とても面白くエンターテイメントとしても一級の小説だったと思います。
と、ここまで書いてこんな事言うのもなんですが、私はドラマのストーリーも
捨てがたく面白かったなあと思ったりもしました。
織田裕二が作り上げた黒田康作が良かったからなのかなと思います。
(あたまっち)

