- 検察者 (集英社文庫)/小杉 健治
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いったん不起訴となり、一般人から構成される「検察審査会」で再審議することになった、
「社員研修シゴキ死亡事件」。
そして、妻の不倫をネタにゆすられていた男の「自殺偽装殺害事件」。
二つの関係ない事件が、1つに結びつく時、驚くべき真実が!!
こ~れは、息詰まるような迫力ある社会派ミステリーです。
「検察審査会」を題材にしてるのですが、そもそも私は「検察審査会」というのがあること自体、恥ずかしながら知りませんでした。
去年、よくニュースでとりあげられた裁判員制度はもちろん知っていたけど、検察の方にもそういう機関があるとは。。。
勉強になりました。
それだけでも読んだ甲斐があったというものです。
この作品は、内容は堅いのですが緻密で、人間同士の息詰まる迫力というか、みんな登場人物達はそれぞれの立場で精一杯生きているんですね。
しかし、世の中の流れや、組織、人間関係の中で自分一人の力ではどうしようもない方向に持っていかれてしまい、それでもやはり生きていかなければならない。
そういう辛く、やるせない部分をガチッ!!と描いています。
ある意味、人間賛歌です。
これだけの緻密な構成と、一気に読ませてしまう内容の作品を書いた作者は素晴らしいと思います。
かなり読み応えのある小説でした。