ダイスをころがせ/真保裕一 | こぶたのしっぽ

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ダイスをころがせ!〈上〉 (新潮文庫)/真保 裕一
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職を失い、妻子とは別居中。駒井健一郎34歳。

ある日、彼の前に高校時代のライバル・天地達彦が現れ、驚くべき事を口にする。

「次の衆院選に立候補する。ともに戦ってくれ」

コネや金は一切無し、持つものは理想だけ。

第二の人生を切り拓くため、彼らは完全無党派で選挙に挑む。

しかし、問題は山積みで・・・・。


上下巻に渡る長い小説を読むのは好きですが、時間が取れないので、読み終わるのにすごく時間が要ります。


選挙を題材にした、情熱系、青春エンターテイメントともいえるこの本を読み始めたのは、今年の4月の事ですが、今月読み終わる頃には、現実の世界で実際に衆議院選挙が行われ、自民党が野党になり、政権が交代していました(;^_^A


こういうタイミングでこういう小説を読んだので、現実の選挙と照らし合わせながら読めたのは中々面白い経験でした。


面白かったです。


ストーリーもさることながら、普段自分の生活中では決して身近とはいえない選挙を題材にしており、この小説を読むだけで、実際の選挙にどれだけお金がかかるのか、そして政党に属している立候補者と、無所属で立候補する人とでは、資金的にも、規制や、ルールにどれだけ差があるのか、などなど、選挙に関して知らなかったことが色々と分かり、とても興味深いものでした。


私が一番印象に残ったのは、小説のタイトルにもなっていますが、


我々は将来の日本を変えるかもしれない一票を等しく手にしている。


手にしたサイコロに気付かず握り締めているだけで何も始まらない、


まずはサイコロを転がして、意思表示をする、それが第一歩ではないかと。


この一文です。


作中に何度か出てくる文ですが、確かにそうかもしれないと思いました。


選挙に関しては投票行動がサイコロを転がす事に例えられてますが、


この作品の登場人物たちのこれからの未来もそうだし、それは自分にもいえることだと読んでて思いました。


確かに行動しなければ始まらない。


人生をスゴロクに例えると、やはりサイコロ(ダイス)を振らなければ動かないわけで、


ダイスを転がした事で、時には”3マスもどる”になる場面もあるかもしれないけど、それでもやはり生きてて尚且つ手にダイスを持っているのであれば、やはり転がして進んでいかなければならないんだなぁ。


そんな事を、この小説を読んで思いました。


読み応え、十分でした。



ダイスをころがせ!〈下〉 (新潮文庫)/真保 裕一
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