目次

キャロライン・マクマーン捜査官が、コリンが持っている紙を見た。

「ご家族が、貴方の連絡を待っているようね。」


コリンが、マクマーン捜査官を睨んだ。

マクマーン捜査官は、犯罪者の目を見慣れている筈なのに、コリンの睨みを見た途端、心臓の鼓動が早まり、顔が火照りそうになった。

『この子、睨むと妙な色気があるわね。』

マクマーン捜査官は、冷静に分析した。


ジョン・ヘムスリー捜査官が、優しくコリンを諭した。

「君が協力してくれないと、こちらも協力は出来ないよ。」

ヘムスリー捜査官は、コリンの前にノート・パソコンを置いた。


昨日と同じ様に、パソコンに映し出された男達の照会であったが、今度はモンタージュ写真も含まれていた。

コリンは、自分を落ち着かせて、画面を見た。


25枚目の男が出てくると、コリンは指を差した。

この男は60代の殺し屋であるが、裏社会の間では昨年病死したと知られていた。


更に照合は50人程進み、1枚のモンタージュ写真にコリンは釘付けになった。

リチャードや仲間を殺し、自分を殺そうとしたあの、赤いシャツを着て蛇の様な目をした男がそこにいた。

コリンは胸の高まりをぐっと抑え、知らないと言った。

ヘムスリー捜査官は見落としていたが、マクマーン捜査官はコリンの心の動きを捉えていた。


照合は、そのモンタージュ写真が最後であった。

ノート・パソコンが片付けられ、再びコリンへの事情聴取が始まった。


この時に、コリンは自分が下働きの他に、リチャードの運転手も務め、取引の現場へ行ったことを告白した。

取引の現場は、ニューヨークの高級ホテルであったり、湖畔にある古ぼけた丸太小屋だったことを打ち明けた。

コリンは、自分は車の中やホテルのラウンジで待っていたと言い、取引の現場にリチャードのボディガードとして立ち会ったことは隠した。

捜査官達は、取引の場所を丹念に聞き、コリンは言葉を選びながら答えた。

事情聴取は数時間に及び、昼の休憩となった。


コリンは体力的には疲れたが、気力が出て来て、昼食を平らげてしまった。

午後から、事情聴取が再開され、コリン・マイケルズは素直に応じる振りをした。

ジョン・ヘムスリー捜査官は時折笑顔を見せていたが、キャロライン・マクマーン捜査官は無表情のままであった。

その日の事情聴取が終わり、夜を迎えたが、あの男のことが頭から離れず、なかなか寝られなかった。

『あの蛇男め、覚えていろ。必ず、あいつを仕留めてやる。』

続き