町の実力者から、包みを預かった若い男は、実力者が指示した所へ向かっていた。

目指す場所は、人里離れた山の頂上であった。

若い男は、町を抜けると、町境にあるトウモロコシ畑の脇を通った。

すると、後ろから悪人達が追っかけて来た。

実力者から預かった包みが、目当てらしい。
どうも、包みの中にお宝があるらしい。

若い男は、急いでトウモロコシ畑の中へ入った。


悪人達も慌てて畑の中へ入り、若い男を追った。

若い男は、包みをしっかりと小脇に抱え、畑へ身を隠しながら逃げた。

隙を見て、畑から飛び出ると、一心不乱に走った。

背後から、悪人達の声が微かに聞こえる。

かなり先を行ったようだと、若い男は思ったが、山の麓で危うく悪人達に追い付かれそうになった。

若い男は、山の中腹にある無人の荒れ寺へ逃げ込んだ。

悪人達が荒れ寺へ、押し入った瞬間、若い男は柱を登り、屋根裏に隠れた。

悪人達は、本堂や入口付近を探索していて、屋根裏まで目が届かなかった。

気付かれない様に、若い男は静かに屋根裏を歩き、寺の裏に出た。

どうやら、悪人達はまだ入口を探しているようだ。

若い男は、目指す場所へ向かった。

山の頂上へ、到着した。

若い男は、包みを開けた。
中は、何も入ってなかった。

それを、やっとこで頂上へ到着した、悪人達が見てしまった。

踵を返す様に、悪人達は山を駆け降りた。
どうやら、この包みは偽物で、本物のお宝は別の場所にあると思ったらしい。

しかし、若い男は本当の事を知っていた。
本物のお宝は、包み自体である事を。

悪人達の姿が見えなくなった頃合いを見計らい、若い男は頂上に住む老人を訪れ、包みを渡した。

老人は礼を言い、「これを、町の実力者にお渡し下さい。」と、小さな箱を渡した。

この箱には、何か入っているようだ。

若い男が、小さな箱を振ると、カラカラと音がした。

若い男は頷き、山を降りて町へ戻ろうとした。

少し経つと、又後方から悪人達の足音が聞こえてきた。

逃げ切ってみせると、若い男は決意して、ダッシュした。