住宅街の夜道を歩く。

何処からか、犬の鳴き声が聞こえた。

近くの家で飼われている、犬の声だった。

クゥーンと、寂しげな鳴き声が気になり、家の前まで歩いた。

門の前で、粒羅な瞳のシェパードに似た大型犬が、此方を真っ直ぐに見ていた。

頭を撫でたいが、我慢した。

じっと目を合わした。
この犬の目は、キラキラして綺麗だ。

犬が落ちついた頃を見計らい、その場を後にした。

後ろ髪を引かれる思いがして、もう一度振り返ると、犬は此方をジッと見ていた。

手を振ると、犬は尻尾を振ってくれた。