全身が硬直してきた。
ザーッという音が、ずっとしている。
動こうにも動けない。
そうこうしていると、岩だらけの峠の風景が広がってきた。
何故か、木枯らし紋次郎の様な股旅ものの格好をして、乾いた風に吹かれながら黙々と歩いていた。
風の音は、先程聞いたザーッと同じであった。
峠を越えた頃に寂れた宿場町が見えたのだが、その時突然足がつってしまい、飛び起きてしまった。
峠を越えた後、何かあったのだが記憶が痛みで吹っ飛んでしまった。
こんなに痛いのは久しぶりだ。
布団の上で、七転八倒する。
5分位過ぎて、ようやく痛みが治まった。
気が付いたら、ザーッという音の正体が分かった。
寝る時にタイマーを付け忘れたため、一晩中動いていたクーラーの音であった。